SS(ショートストーリー)

SSー1 モフモフを見つけました(お知らせあり)

<緋色視点>


「こいつは!」


 とあるダンジョン内。

 調査と開拓を兼ね、今日は軽めのダンジョンだ。

 だけど、俺は唐突にあるもの・・・・を見つける。


「緋色君?」

「お兄ちゃん?」

「なによ、うっさいわねー」


 俺が上げた声に、美玖・あやか・ちい子が反応してこちらを振り返った。

 

 ほう、そんな態度でいいのか、特にちい子。

 俺はニヤリとした顔を浮かべて、そのあるものを三人の前に出した。


「じゃあちい子は、こいつを触るの無しな」


「「「!!」」」


 目に入ると、三人は一斉に猛ダッシュしてくる。


「「「可愛いー!!」」」


「ちょ、ちょっと!」


 その勢いがあまりに強く、俺は後ろに身を引いた。


「触らせて!」

「お兄ちゃんだけずるい!」

「なんであたしだけダメなのよ!」


「は、はは……」


 思った以上の効果だな。

 仕方ないので三人に預けてあげることにした。


「ほーら、みんなの元へ行きな」


「クゥン?」


 俺が見つけたのは魔物の【ハッピードッグ】。

 小さくて可愛い、モフモフの犬型魔物だったのだ。


「「「可愛いー!!」」」


 三人とも、さっきから全く同じ反応を繰り返している。

 触ったり撫でたり、自分を追いかけさせたり、やってることは違うのに「可愛い」とひたすらに言い続けている。

 まあ、気持ちはわかるけどな。


「つんつん」


「クン?」


「きゃわ!」


 犬というのは可愛い。

 人懐っこくて、モフモフしていて、元気があって愛嬌があって……挙げればキリがない。


 そしてそれは魔物であってもだ。

 ところどころ違う部位はあるけど、このハッピードッグとかいう魔物はほとんど小犬だ。


 それゆえ、ものすごく人気がある魔物ではあるが、超希少なために中々見つからない。

 今日は本当にラッキーだったな。


「ねえねえお兄ちゃん!」


「ん?」


「この子、飼ったらダメかな!」


「飼う!?」


 そんな可愛すぎるハッピードッグに惚れたのか、あやかがすごいことを言ってきた。


「おいおい、飼うってそんなこと……」


「お兄ちゃんだって【ガチティラノ】飼ってんじゃん!」


「あれは飼ったと言うか、手懐けたと言うか……」


 ガチティラノ。

 美玖と初めてコラボ配信を行った際に、はぐれた美玖を助けるために使った最上位魔物だな。

 ガチティラノという最強の魔物で美玖を助けに行ったことにより、コラボ配信は文字通り超神回になった。


 でもあれは結局、“ダンジョン内”で仲良くしているだけだ。

 ペットとは言ってるけど、外に持ち出したことは無い。


「ねえ、良いでしょお兄ちゃん!」


「うーん、どうかなあ……」


 なんにせよ、前例が無いんだよなあ。

 そうして俺が悩んでいると、横から口が入った。


「じゃあわたしが飼う!」


「美玖!?」

 

「ダメよ! あたしが育てるわ!」


「おい! ちい子まで!」


「みんなだめだよ! この子は私が飼うんだから!」


 美玖とちい子まで入り、あやかも応戦。

 そろそろ収拾がつかなくなりそうだ。


「あー! 分かった分かった! じゃあもう俺が預かる!」

 

 俺は手を広げてハッピードッグを拾い上げる。


「お兄ちゃんずるい!」

「緋色君独り占めはダメだよ!」

「そうよそうよ!」


「じゃあ三人とも、育て方は分かってるのか?」


「「「……」」」


 俺の問いに三人は黙り込む。

 やっぱりな。


「そもそも、俺たちは日本中を飛び回ってる。だから飼うことは難しい」


「たしかに……」

「そりゃあ……そうだけど」

 

 美玖とあやかは口を尖らせる。

 だが、


「じゃあ、あんただってそうじゃない!」


 ちい子は指を差して指摘する。

 当然、それに対する答えはちゃんと持ってる。


「ああ。だから今は一旦預かる・・・だけで、実際には檀上さんに飼ってもらう」


「「「ええ!?」」」


 三人とも漫才みたいなリアクションをした。


「それが一番現実的だ。他の人には渡したくない、俺が教えればちゃんと育てられる、住む場所を固定している。ほら、条件は揃ってる」


「ま、まあ……」


「あとは、みんなが好きなタイミングででられる」


「「「!!」」」


 その言葉には「そうか!」という顔を浮かべた三人。

 やっと利点に気づいたみたいだ。


「それなら……」

「ありかも」

「理には適ってるわね……」


 ようやく納得してくれる。


「じゃあ今日はここまでにして、さっさと脱出しよう。もうみんなやる気ないだろ」


「「「はーい!」」」


「……」


 こんな時だけ息ぴったりになりやがって。


 後日、俺たちはハッピードッグを持って事務所に帰還。

 檀上さんに伝えるとかなり驚いていたが、その後しっかり育ててくれたとさ。


「なぜ私?」


 なんて言っていたけどね。





───────────────────────

こんにちは、むらくも航です。

こちらではお久しぶりかもしれません。


今回は突発的にSSを書いてみました。

注目の作品に載るには「一週間以内に更新」しておく必要があるというのと、もう一つは宣伝の為です笑。

宣伝は嫌いな方はすみません。


現在、下記の作品に特に力を入れて連載しております!

URLが踏めない方は、ぜひ作者ページより!



『小さなフェンリルを拾ったので、脱サラして配信者になります~強さも可愛さも無双するモフモフがバズりまくってます。これならダンジョン&ペット配信でスローライフを送れそうです~』

https://kakuyomu.jp/works/16817330654492604080



こちらは最終話の後書きに載せていますので、「もう知ってるわ!」って思う方もいらっしゃるかもしれません。

ですが、このURLを載せたのは最終話を出してから3日後ぐらいだったので、もしかしたらほとんどの方は見ていないのではと思い、改めて宣伝させていただきます。


こちらの新作は、今作ダンジョン仮面と同じように『ダンジョン×配信』を題材にしてます。

そこにペットも加えたような形ですね笑。


つまり、今回のSS的なことをやってます!

もちろん作品が違うので全く別の世界線にはなってますが、もしかしたらダンジョン仮面を好んで下さった方は、面白いと思って頂けるのではと考えております。


ダンジョン仮面よりはスローライフというか、のんび~りした作品を目指してます。

良かったら、ぜひご一読いただけると嬉しいです!

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【完結】仮面を被った最強の探索者さん、超人気美少女配信者を助けて身バレしてしまう~正体を隠していたはずが、バズりにバズっていつの間にか日本の未来を託されてました~ むらくも航 @gekiotiwking

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