第29話「再開」

シュヴァイスで色々あったリオは 

あれから結局休息を取らずに

ある女性との待ち合わせ場所である

スエルテを目指し歩いていた。

で、着いた。


「フ~……やっと着いた

ていうかめっちゃ眠い」


不眠不休で疲労困憊のリオは

とりあえず近くにあったベンチに座り込み

腕時計を確認した。


「ふい~……待ち合わせ時間までは……

後1時間弱あるか……うし!

ちょっとここで仮眠すっか!」


そう言ってリオは

ベンチで2m越えのデカイ図体を横にして

仮眠を取り始めようとした。

するとある女性から声をかけられる。


「ちょいとお兄さん、仮眠は禁止

だってお兄さんの仮眠って

15時間くらいあるでしょ?」


リオは横になった状態のまま

話しかけてきた女性の方を見る。


「……フッ、相変わらず

マヌケ顔してんな…………"リオ"」


「……ああ、相変わらずマヌケ顔だよ……

"シャノン"」  


シャノン……シャノン・アシュベリー……

ミアとコランダム洞窟で出会った魔術師である。

リオと待ち合わせをしていた女性とは

彼女の事であったのだ。

実はリオと彼女は7年来の旧知の仲なのだ。


「思ったより早い到着だったじゃん?

正直もっとかかるのかと思ってたわ」


「レディを待たすわけにはいかんべよ」 


「あら!?何それ!?

あんたがそんな感情持つ様になるなんて……!

まさか……新しい女でもできた?」


「アホか、それよりより場所変えようぜ

立ち話もなんだしよ」


そう言ってベンチから起き上がるリオ。


ギュッ


「ん?」


起き上がったリオにシャノンは抱き付いた。


「………良かった……元気そうで……」


「………ああ、シャノンもな……」


リオがそう言うと

シャノンはリオの顔を両手で引き寄せ

キスをした。


「ふふ、再開のキス」


「へへ、Sweet 」


実は何を隠そう

この2人は元恋人同士なのである。

色々あって別れた後も

恋人の様なそうじゃない様な

よく分からない関係が続いているのだ。


「……向こうに良い店見つけたからさ

そこで飲みながら話そうよ……"色々"とさ」


「ああ、そうだな」


2人は店へと向かって行った。








「ーーーーねぇ、リオ」


「ん?」


「"ユリウス"の件……聞いてる?」


「………ああ、また大戦を起こそうとしてるって

話だろ?

全く………皇帝様の考える事は俺には理解できんね」


「……ほんとだよね……また7年前のあの地獄を

繰り返そうとするなんて………」


「……多分……奴の治めてる国……

アストルムにいる連中は

本当は戦争なんてしたくないって

考えてると思うぜ

けど、皇帝様には逆らえないからな

なんとも可哀想だぜ」


「前皇帝のシリウスはドクズだったけど

多少人間味は残ってたよね

だからあっさり平和条約を受け入れたし」


「ユリウスのアホには

そういうのは全くなさそうだよな」


「ね……」


「全く……どうなっちまうのかねぇ~……

この大陸の行く末は……」


「……リオ……、"フリーデン"の事は知ってる?」


「フリーデン?何だそれ?」


「敏腕スレイヤーや魔術師を集めた

ゲリラ組織らしいよ

何でも近い内……ユリウスが大戦を起こす前に

アストルム帝国に乗り込んで

奴を殺すんだってさ

そうすれば戦争を起こしたいなんて

言う奴は1人もいなくなって

めでたしめでたしみんな平和」


「へ~、でもあそこって

"ディオス"や"騎士団"がいるよな

そう簡単にいくとは思えんね」


「だよね~…………」


「……………ところでシャノン……

"アイツ"の情報掴んだってのは

マジなのかよ?」


「………うん、マジ

じゃなきゃわざわざ呼んだりしないって」


「…………教えてくれよ……」


「…………もちろんいいよ……

ただし……条件付きでね……」


「条件?」

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CRAZY FANTASY ゴリラバナナ @oatmeal

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