第3話 『もしもの世界』世界から『蚊』がいなくなったら

 もしこの世界から『』がいなくなって数百年が経ったら……


 数百年後の小学校の授業で学校の先生が生徒たちにこんな話をしていることだろう。


先生

「みんながびっくりするようなことを教えてあげよう。数百年前には、この地球上に人間の血を吸う虫が飛んでいたんだ。しかも、その辺を飛んでいたらしい」


生徒

「ええ! そんな恐ろしい虫がその辺をとんでいたの?」


先生

「そうなんだ。聞くところによると家の中にも入ってきたりしていたらしいし、山や川に行くと、その『』という虫は群れで襲って来たりしたらしい」


生徒

「こわーい。そんな時代に生きてなくてよかった。でも、その『』という虫に血を吸われたらどうなるの? ミイラみたいにからびちゃうの?」


先生

「いや、それが、ときどきこわい病気にかかって死ぬ人もいたが、多くの人は『かゆい』ぐらいですんだらいい」


生徒

「え! 血を吸われて『かゆい』だけ? その頃の人類は無敵かよ」


先生

「そうなんだ、文献によると『かゆい』ところに塗る薬があったらしい」


生徒

「血を吸われて、薬塗って治るのかよ。その頃の人間ってのは、その『』以上のバケモンだな」


先生

「そして、更に、その頃には殺虫剤といって『』を退治する武器をその辺の店で売っていたらしい」


生徒

「武器屋があったのか! もうロールプレイングゲームの世界かSF映画の世界だな」


先生

「本当だな」


生徒

「おれは信じないね」


生徒

「わたしもよ。もし、本当に、そんな虫がいたら怖くて外に出られないじゃない」


先生

「本当だな。まあ昔の話だ、きっと、鬼退治とかヤマタノオロチとか、そんなたぐいの話で、ちょっと『ってる』ところもあるんだろうがな」


みたいな話。


fin

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モントレイユ・デ・ショートな話 KKモントレイユ @kkworld1983

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