第1の試練の洞窟を出て数時間後、僕たちは隣国のラート共和国方面へ向かってグラン街道を歩いていた。


 ここは主要な交易路のひとつだけど、これだけ町から離れれば森や山の中にいるのとそんなに変わらない。だから魔物や猛獣に注意して進まなければそれなりに危険だ。ただ、今のところは邪悪な気配が一切なく、動物にしても小鳥や野ウサギなど人畜無害な種類ばかりで何事もなく進むことが出来ている。


 これはブレイブ峠からシアの城下町へ移動した時と状況が同じ。なぜそんな事態になっているのか相変わらず原因は不明だけど、余計な争いが起きないのは良いことだ。


 なお、タックの話によると、第2の試練の洞窟はラート共和国の山間部にあるらしい。地図でおおまかな位置を確認してみたけど、そこへ辿り着くまでにはまだまだ距離がある。まずはこの森林地帯を抜け、国境を越えないといけないしね。




 ――と、次の目的地を目指して進み始めたものの、さっきから僕の周囲は騒々しい。


 前方の数歩先、左側を歩くミューリエと右側を歩くタック。


 ミューリエは頭から湯気を立て、敵意をむき出しにしてタックを睨み付けている。こんなにも感情を露わにしながら歩いているなんて、僕とふたりだけで旅をしている時にはなかったことだ。彼とはよっぽど気が合わないのだろう。


 一方、タックはケタケタと笑いながら、彼女の威嚇を意にも介していない。ただ、その笑顔の奥にはミューリエに対する嫌悪感を滲ませていて、心を許している様子は感じられない。


「こっちへ寄るな、貴様! 不快で鳥肌が立つ!」


「クククッ! そう言われるとオイラ、近寄りたくなっちゃうなぁ!」


「このひねくれ者めっ!」


「お前にだけは言われたくね~っての♪」


 ふたりは一触即発の雰囲気。普通に歩いていただけなのに、なんでこんなことになっちゃってるんだろう。僕たちは一緒に旅をする仲間なのに……。



 ――さて、どうしよう?



●ふたりの間に入って仲を取り持つ……→113へ

https://kakuyomu.jp/works/16817330652935815684/episodes/16817330652939464850


●もうしばらく様子を見る……→97へ

https://kakuyomu.jp/works/16817330652935815684/episodes/16817330652939169955


●ふたりを叱る……→18へ

https://kakuyomu.jp/works/16817330652935815684/episodes/16817330652937076689

 

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