俺の就職は難しい。

夕日ゆうや

面接

 寝坊した!

 俺は急いで身支度を調える。

 今日は『株式会社・魔法使い』の面接がある。

 慌てて外に飛び出し、面接会場に向かう。

 一分遅れで会場に着くと、俺たちはグループワークを行うことになった。

 テーマは地球温暖化による二酸化炭素の削減案。

「地球温暖化か。大久保おおくぼさんはどう考えますか?」

 いきなり話題を振ってくる佐藤さとうさん。

「あー。今は実際に起きているのか、そうでないのか。その分析結果を待つのも一理ありますね。でも、起こっている想定で動くのは正しい判断かと」

「ほう! 地球温暖化そのものを疑うと!」

 前にいた少女が声を上げる。

「ああ。今の世界の技術力で二酸化炭素の排出量と気温を調べるのは可能ですが、長期的なデータがないので、あくまでも想定で動くことしかできないでしょう」

「にゃるほど、にゃるほど。でも、二酸化炭素以外にも温室効果ガスはあるよね? なんでそれは取り締まらないの?」

 右隣にいた少女が訊ねてくる。

「温室効果ガスのほとんど、80%は二酸化炭素。その他15%はメタン、その他5%といった割合であると同時に、メタンなどの他の温室効果ガスは自然界では紫外線などにより、最終精製産物が二酸化炭素になるんだ。だから二酸化炭素を基準にしておくと、データとしてはわかりやすいんですよ」

 と、その後もディベートのようなグループワークをこなす。

 ふ、なんでも答えられる俺ってかっけー!

「不合格」

「なっ……!」

 俺は言われたことを理解できずに口を開く。

「お言葉ですが、グループワークでは答えることができていたかと……」

「ふん。あれはディベートだよ。グループワークじゃない。それに君は遅刻をしてきただろう? それで受かるわけもない」

 仰る通りで。

「大久保さん。お帰りください」

「失礼しました」

 俺、あと何回面接をすれば、受かるのだろう。

「首相なんとかしてくれ……」

 俺は藁にすがる思いで呟く。

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