第18話 再会

 しばらく5階層の探索をして稼いで、リンゴ、高橋さんとおキヨさんの店で飲んでいた。

 いつものように高橋さんが焼き鳥を焼きながら、話しだした。


「あ、そういえば、回収場で、整備班に若くて可愛い女の子が来たって言ってましたよ」


「そうなんですね、俺はレンタル機体ですから、あまり整備の人と関わりが無いんですよね」


「あ、私は会ったかも? 確かに可愛い女の子だったよ」


「リンゴは会ったんだ? どんな子だった?」


「ん〜? ケイタ興味深々な感じかなぁ?」


「なんでそうなるんだよ。話の流れで聞いただけだっての」


「あはは、冗談冗談! 高校生くらいの銀髪の子だったよ」


「高校生くらい? そりゃ随分若いな……」


「ま、見た目がそう見えただけで、実際は分からないけどね」


「俺は6階層で機体を手に入れるまで会うことは無いだろうな」


「でも、そろそろケイタも新人教育の話くるんじゃない?」


「そうかな?」


「たぶんね。私も思いの外すぐ依頼来たし。教育終わったら6階層の機体確保手伝うよ!」


「おぉ! それはありがたいな。リンゴとは連携も取りやすいし、俺からお願いしたいくらいだよ!」


「えへへ、ま、私先輩だからね!」


「リンゴ先輩! ありがとうございますッ!」


「ドーンと任せなさーい!」


「若いって良いですねぇ。お2人とも、焼き鳥いい感じに焼けたのでどうぞ! あ、自分も6階層お手伝いしますからね!」


「それは心強いです! 高橋さんも、ありがとうございます!」


 2人の心強い協力の言葉をもらい、俺達は、楽しい時間を過ごした。


 

 飲み会からしばらくしてギルドから新人の教育依頼の話がきた。


 当日、顔合わせのために個室へ向かうと、どこか見覚えのある、赤髪ポニーテールのスタイルの良い女性が座っていた。


「え……班長?」


「やっほー! ケイタ久しぶりっ!」


 そこには、ドッキリが成功したような満面の笑顔で班長がいた。


「な、なんで班長が!?」


「アハハッいい反応だねっ! でも、もう班長じゃないぞっセ・ン・パ・イ」


「な、なんでマーセナリーなんかに……」


「あぁ、それは、色々調べてたら、ゾイ○に乗れるって分かったからだよっ! それにメイちゃんと一緒にいるためには、マーセナリーになる必要があったからねっ」


「え? メイ先輩?」


「うん! このギルドの機体整備班に、ちょっと前から所属してるよ」


 そういえば、最近若くて可愛い子が機体整備班に来たって、2人から聞いたな。

 まさか、それがメイ先輩だとは……。


「前から不思議に思ってたんですが、班長とメイ先輩って何者なんですか?」


「だぁかぁらっ、もう班長じゃないんだから、名前で呼んでよねっ」


「柏木さん?」


「下の名前で呼んで〜」


「……下の名前知らないんですが」


「あれ? そうだっけ? アンズ、柏木杏だよっ」


「了解です、アンズさん」


「さんも、いらないよっ、せ・ん・ぱ・いっ」


「……分かりましたよ、アンズよろしくお願いします」


「よろしくねっ、ケイタ先輩っ」


「あの、呼び捨てでお願いしても良いですか? ムズムズするんで」


「えー、じゃあ、敬語なくしてくれたらいいよ!」


「はぁ……了解。じゃあ3ヶ月よろしく」


「はーいっ! ケ・イ・タッ」


 相変わらずの班長でなによりだよ……。


 今後の説明と、マーセナリーの色々について話をした後、驚きの話を聞いた。


「あ、私の機体、ブレードライ○ーだから」


「は!? ポーターなのに?」


「別に、スコープ○ッグに乗らなきゃいけないってルールもないじゃん」


「そ、そうだけど、最近配置された機体だよね?」


「ハッハッハ! 大企業の令嬢舐めるなよッ!」


「初耳! それ初耳ッ!」


「そりゃ言ってないからねっ! 私とメイちゃんは、大企業の令嬢なのさッ!」


「えー……じゃ、なんであんな閑職みたいな場所で?」


「それはね、私たちの親が反対していてさぁ、どうにかして諦めさせるためだったんだよねぇ」


「え!? じゃあ、なんで今ここに?」


「ふっふっふ……説得したんだよっ! 時間はかかったけどねっ! ま、色々な条件はあったけどね……」


 なんか凄いな。

 令嬢がマーセナリーや整備やるなんて。

 そんなに機体に関わることが好きなのかな。


 その後、俺はアンズに連れられてメイ先輩のもとへ向かうことになった。

 

「メイ先輩、お久しぶりです」


「ん、ケイタ久しぶり」


「メイ先輩もアンズも大企業の令嬢って驚きましたよ」


「……ケイタ」


「どうしたんです? メイ先輩?」


「アンズなのに、私、メイ先輩」


「え……」


「私は、メイ」


「そうですね……メイさんですね」


「私は、メイ」


「えっと……メイちゃん?」


「んー、ま、それでいい。よろしくケイタ」


「あ、はい。よろしくメイちゃん」


 自分の機体を手に入れたら、整備をメイにお願いすることを約束して、久しぶりの再会は幕を閉じた。


———————————


お読みいただきまして、ありがとうございます。

申し訳ありません。ここから先は、また書きたくなったら書かせていただきます。

ほのぼの系の異世界物が書きたい!って思ってしまったので…。

読んで頂いてる方には大変申し訳ありません。

完結はせずに、書きたいと思う時がきたら、書かせていただきます。


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とある企業の作業員になるはずだったけれど ヴィジラント @vigilant

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