33 エピローグ③

“キーンッコーンカァンコーン”

“キーンッコーンカァンコーン”

“キーンッコーンカァンコーン”


 三重みつえに響き渡る鐘の音。


 それに合わせ、次第に世界が変容を遂げていく。


 噴出口から噴き出した光の奔流が、街を……空を……世界を覆いつくしていく。


 「いやぁ……絶景絶景。しっかし、こりゃもう疑いようがないね」

 「そうだな。この世界も今日で……お別れか」

 「全然寂しくはないけど、少しばかり感傷的になっちゃうね」

 「油断するなよ。かぁくんはいつも詰めが甘いんだからさ」

 「当然。もう死ぬのは懲り懲りだ」


 「それにしても、ここにきて鯨のバケモノかぁ……しっかり伝承通りの三つ首な辺り、マジでラスボスっぽいね」

 「これを倒したらさ……どうなると思う?」

 「ふん……元の世界に戻れるに決まっておろう。というか、そうでなければ困る」

 「そりゃ、お前らはそうだろうよ」

 「あぁ……一分一秒でも早く戻らねば!さぁ!者共!可能な限り全力で早急に倒すぞ!」

 「はいはい……てか、今日で終わるのを誰よりも確信していたのはアンタでしょ。なんであと少し辛抱できなかったかなぁ……」

 「その……計算が狂ったのだ……色々と」

 「おぉい、みんなぁ!戦いに集中しろよぉ!」

 「イヒ……朗報。敵は三つ首クジラのみ」


 「そうか……逆にそれだけ単体でも強力ともとれるな」

 「さっきまでも……まぁ、よくぞここまでっていった感じの、ボスラッシュだったからなぁ」

 「ラストにふさわしいとも言えますわ」


 「僕らで倒せる……かな?」

 「俺らなら余裕っしょ」

 「たく、油断するなよ?」

 「当然」


 「さぁ、いこう。みんな。さいごの戦いだ!」


 「「「「「おぅっ!!!!!」」」」」



 2020年3月3日15時3分。


 その日、卒業を迎えた少年少女に待ち受けていたのは、理不尽で残酷な世界だった。


 襲い来るバケモノ。

 数えきれないほどの試練と、出会い……そして、別れ。


 時に挫折しながらも、少年少女は過去を乗り越え、今を懸命に生きた。


 そして、いつか来る終わりを夢見て、明日を目指した。


 それから3年。


 2023年3月3日3時3分。


 少年少女は青年となり、ついにその時はやってきた。


 そう、今……さいごの戦いに挑もうとしていたのだった。


 対するは、両腕りょうかいなこうべと化した巨大なクジラのバケモノ。

 伝承通りの三つの首が若者たちの未来を阻む。


 だが、若者たちは不思議な能力を武器に、勇敢に立ち向かっていく。


 少年少女だった者たちの雄たけびが、光り輝く世界に轟くのだった。



 そして、幾何いくばくの後……やがて雄たけびは歓声に変わり……。


 光り輝く世界に鐘の音が響く中……。


 物語は終幕を迎えるのだった。



~完~

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3時3分何してた? 栗金鳥団 @kurikintyodan

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