第8話 目撃
第8話 目撃
GYに着いた優達は店内に入り服を見て回っていた。
「まずはパンツから見てみましょ。」
「え?パンツ?いやいや流石にそれは恥ずかしいとか言うか…買っても自分で選べるというか…あと、いきなりパンツを見せるなんて状況にはならないというか…」
「はぁ…パンツってズボンの事よ。」
「え?ズボン?パンツって言うの? 」
「もうそんなボケは良いから選びましょ。」
(いやいや、なら最初っから普通にズボンって言えば良くない?え?俺がおかしいの?俺だけが知らないの?)
「そうね。佐藤くんは結構痩せ型だしワイドカーゴパンツとか合いそうね。それとも、大人っぽい演出をする為にテーパードパンツも良さそうね。」
「……」
「それとも、総柄パンツでこなれてる感を出すのもありよね。うーん、迷うわね。」
「………」
「トレンドも大切だけどやっぱりその人に合ってるパンツの方が良いわよね。うんうん、そうよね。ここは佐藤くんに合いそうなアンクルパンツにしましょ。…ね?聞いてる?」
「あ、はい。ちょっと何言ってるのか分からないからによる、玲さんに任せるよ。なんか呪いの呪文みたいなの聞いてたら、頭も痛くなってきたし、外のベンチで座ってようかなぁ…なんて」
「うふふふ、面白い冗談も言えるのね。さぁ次はトップスを選びましょ。」
「あ、はい。仰せのままに。」
こうして2時間にも及ぶ、着せ替え人形…もとい、玲による、優の為のお買い物は終わりを告げた。
「ふぅ、私も男の人の服装なんて選ぶの初めてだから、熱が入りすぎてしまったわ。」
「……うん、疲れたね。」
「じゃあ、ちょっと遅いけど、お昼にしましょうか。」
「そうだね。もう何処でも良いから座りたい…。」
「それなら近くに新しく出来たラーメン屋なんでどうかしら?」
「え?ラーメン!?玲さんが!?」
「…何かおかしいかしら?」
「いや、だってこういうの食べなさそうなイメージだからさ。勝手なイメージだけど、イタリアンなお店で「シェフを呼んでちょうだい」とかいつも言ってるのかと思って。」
「私は何処のお嬢様よ。私は普通にファーストフードも食べるし、ラーメンも大好きよ」
「へぇ〜意外だな、じゃあそこのラーメン屋に行くか」
「ええ、行きましょ。」
新しく出来たラーメン屋に行くとそこには長蛇の列。
優達は最後尾に並び店員からメニュー表を受け取った。
20分ほど並んでいると、道の向こう側に見知った顔があった。
優が片思い中の桜だった。
声をかけようと優が声を出そうとした瞬間、桜の隣に男の人が居るのが見えた。
その事にショックを隠せずに居ると玲が声をかけてきた。
「顔色が悪い様だけど、どうしたのかしら?」
「いや、あそこに桜さんが…」
「っ!…あの男は…」
「知ってるの?」
「ええ、中学校時代に桜が付き合ってた人よ。」
「そうなんだ…付き合ってたって…」
「そうよ、高校に上がるのと同時に別れたって桜からは聞いてたけど…あの感じは…」
「そっか…ごめん…なんか食欲が無くて…ラーメン、またでいいかな?」
「勿論よ。」
「ありがとう、今日はこのまま解散でいい?」
「…ダメよ。佐藤くん、とても苦しそうな顔しているもの。」
「……」
「1人にしておけないわ。…佐藤くんが良かったら家に来る?この時間親は仕事で居ないし、家でなら桜の事ゆっくり話せると思うし。」
「…うん」
こうしてラーメン屋に入らず玲に連れられてその場を離れた。
玲は無言で優の手を取り家に向かって歩いた。
この時、玲の顔は通行人がビックリする位、冷たい目をしていた。
彼女の友達に恋をした 〜これは遊びじゃない、本気なんだ!〜 聲無 零 @zeebra3672
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。彼女の友達に恋をした 〜これは遊びじゃない、本気なんだ!〜の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます