第7話 始めてのデート
初恋
第7話 初めてのデート
『デートしましょ。』
『……え??』
『じゃあ明日、駅前に10時に待ってるわね。』
『ちょ、なんで』
これ以降玲からの返信は来なかった。
「マジかマジかマジか!え?デート?なんで??玲って俺の事好きだったのか?…今までそんな素振り無かったのに…てか服どうしよう…いつもの上下黒のセットアップじゃダメだよな?うーん、困ったな。無難に白Tにジーンズで良いかな?でも相手があのモデルに居ても、おかしくない玲だしな…相談出来る相手も居ねーしな。」
この後優は、夜中の3時まで服選びをしていたが、結局決まらず白Tにジーンズという可もなく不可もなくという格好に自動的に決まった。
珍しく夜更かしをした優は、案の定寝不足のまま朝を迎えた。
待ち合わせの時間は、10時。
お風呂に入り、入念に色々な所を隅々まで洗った。(3回)
ワックスで髪の毛を決め、予定より1時間も早いが、待ち合わせの駅に向かう事にした。
(べ、別にデートが楽しみで早く行くとかじゃないんだからね!勘違いしないでよ!)
そんなツンデレな事を考えていると駅に着いた。
駅に着いた優はスマホの時計を見た。
9時20分。
予定よりも40分も早く来てしまった。
周りを見渡しても当然玲の姿は無かった。
(流石に早く来すぎたな、これじゃあ、がっついてるみたいだな。)
時間を潰すため、適当にスマホいじってると肩を叩かれた。
「おはよう、ごめんなさい、待たせてしまったかしら?」
「おはよ、いや、俺も今来た所(イケボ)」
(よっしゃ!決まった!デートしたら1度は行ってみたかったセリフ!)
「そうなのね、良かったわ。じゃあ行きましょうか。」
そう言いながら玲は歩き出した。
「あの〜、ちなみに今日って何処行くとか決まってるのかな?」
「ええ、決まってるわ。その前に、近くのカフェに行って作戦会議をしましょ。」
「ん?作戦会議?なんの??」
「なんのって、桜をデートに誘いたいのでしょ?桜が好きそうな場所をピックアップしたから、気になる所があったら下見に行きましょ。」
「え?じゃあ昨日言ってたデートに行きましょうって言ってたのは…」
「ええ、桜とのデートの下見に行きましょうって事よ。」
(いやいや、そんなの分かるわけねーだろうが!童貞の純情を弄びやがって……まぁでも、下見は確かに必要か。知らない所をいきなり案内とか出来る気がしないし…)
「そうだよね、勿論そうだと思ったよ!じゃあ行こうか!」
「ふふ、もしかして私とデートだと思ったのかしら?」
「ま、まままさか、そんな訳ないだろ。予行練習だと勿論分かっていたとも」
「ふふふ、そういう事にしておいてあげる、さ、行きましょ。」
(玲はこういう所あるよな。分かっててからかってくると言うか、小悪魔的な所と言うか。まぁ別に嫌じゃないけどさ)
優達は近くの珈琲屋で作戦会議をする為に入店した。
2人はそれぞれコーヒーを注文して窓際の席に座った。
「さて、早速本題だけど、佐藤くん貴方、服のセンスがあまり無いのね。」
「え?…変かな?」
「そうね、無難に着こなしてるって言えば聞こえは良いけど、デートに来てくる服装では無いわね。」
「はい、すいません…」
「ふふ、じゃあまずは佐藤くんの服を買いに行きましょうか」
「はい、よろしくお願いします…」
「桜に見せても恥ずかしくない服装を選んであげるから、そんなに拗ねないで」
「別に拗ねては…ただ自分のセンスの無さに絶望してるだけで…」
「大丈夫よ、私に任せて、ね?」
「あぁ、じゃあお願いするよ」
「服装もだけど、まず佐藤くんには女の子の扱いというのを勉強する必要があるわね。ちなみに私の格好どうかしら?これでも結構気合を入れてきたのだけれど。」
玲は、白のワンピースにポニーテール、更にはミニスカートと、優の好みな格好をしてきていた。
「ごめん、今日の服、俺めっちゃ好きだよ。玲さんにとても似合ってると思う!」
「うっ…佐藤くんって意外と、たらしなのね。」
「え?そんな事ないと思うけど。本当に似合ってると思うし、俺のストライクゾーンのど真ん中って感じだよ」
「……もう分かったから、そんな感じで桜のことも褒めたら大丈夫よ。」
玲は頬を紅く染めてコーヒーに口を付けた。
(本当に玲は絵になるな。一緒にコーヒー飲むだけでお金が発生しそうだな。…え?大丈夫だよな?レンタル彼女を無意識に利用とかしてないよな?大丈夫だよな?)
「じゃあ、まずは俺の服を選んでもらうって事で、その後はどうする?」
「そうね、桜は動物が好きだから猫カフェや動物園、ペットショップでも喜びそうね。あと今、犬の映画がやってるらしいから、それも良いかもね。」
「なるほど、映画とか良いかもしれないな、見終わった後とかその話題で話しやすくなるし。…うん、映画にしよう!ありがとう!玲さん!」
「そう、決まったなら良かったわ。じゃあ、コーヒーを飲んだら服を選びに早速行きましょうか。」
しばらく2人で学校の話をしたりしながらコーヒーを飲んだ。
近くに安くてオシャレなお店があるそうなのでそこに行く事にした。
安くてオシャレな服があるお店、GYに向かう途中玲がつまずいて転けそうになった。
慌てて優は玲の腕を掴み倒れない様に玲を引き寄せた。
傍から見たらハグをしてる様に見える。
「大丈夫か?怪我とか無いか?」
「うん、大丈夫。ちょっとつまずいただけだから、ありがとう。」
「いや、大丈夫なら良いんだけど、無理しないようにな。」
そう言って玲の腕を離した。
その瞬間、また玲が転けそうになった。
どうやら足を軽く捻ったようだ。
「おいおい、足怪我したのか?」
「ううん、軽く捻っただけ。捻挫とまではいかないから、少し休めば良くなると思う。」
「そうか、じゃあ近くに公園があるからそこで少し休むか。ほら、俺の腕に捕まって。」
そう言いながら優は玲に腕を差し出した。
「でも…」
「良いから、悪化しても困るし、それともおんぶの方が良かった?」
「…本当に、たらしなんだから…」
「え?何か言った?」
「いいえ、別に。じゃあ、少し腕借りるわね。」
そう言って玲が腕に絡み付いてきた。
「じゃあゆっくり行くから、痛かったら教えて」
「分かったわ。」
こうして近くの公園まで行き玲をベンチに座らせた。
「良くなるまでしばらく休んでて。あ、飲み物買ってくるけど、お茶で良いかな?」
「あ、じゃあお願い出来る?…あ、お金…」
財布を取り出そうとする玲を優は制止した。
「いや、お茶ぐらい俺に奢らせてよ。今日お世話になってるんだし。安いけどそのお礼って事で。じゃあ買ってくるね」
こうして優は近くのコンビニに飲み物を買いに行った。
10分程で買い物を終えた優は公園に戻ってきた。
「はい、玲さんお茶で良かったよね」
「ありがとう、じゃあ頂くわね。」
「うん、遠慮しないでどうぞ、そうだ、足はどう?まだ痛むようなら病院まで送るけど」
「ううん、さっきよりも、だいぶ良いから大丈夫だと思う。お茶を飲んだら行きましょうか。」
「本当に痛いなら無理しないようね。買い物なんて何時でも出来るし…玲さんの事が心配だからさ」
「…そんな優しい言葉は桜に言ってあげて。誰彼構わずにそんな事言うと勘違いされるわよ。」
「別に誰にでもって訳じゃ無いさ、玲さんだから心配してんだよ」
「え?…それってどういう…」
「だって俺たち…友達だろ?」
「………ええ、そうね、友達よね。」
そう答える玲は何処か寂しそうな、苦しそうな顔をしていた。
玲の足の調子も良くなり、優たちはGYに向かった。
まさか、このあと、あんな事が起こるなんて、この時の優は思いも知らなかったのであった。
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