この作品に出合ってしまった・・・これもまた『巡り』か?

冒頭から幼児虐待が始まります。主人公9歳の奴隷の男の子が、彼が所属しているカトレ商会(のちに薬物で検挙される)の護衛や女冒険者に、殴るけるの暴行を受け、死にそうになると回復をかけられ、また暴行・・・。とうとう男の子の心が砕け、変わりにどういうわけか、普通のサラリーマンをしていた自分が、この男の子の中に入っていた。なすすべもなく、待遇も悪い奴隷の身分だと理解し、絶望。だが、自我が芽生えた1か月後に転機が訪れ、他の奴隷とともに助け出された。この世界は、条約において、奴隷の待遇が確保されていると知る。そこから少年の運命が『巡り』始める。。。
とある冒険者が、導かれるように奴隷商にたどり着き、そこで出会ったのが、この主人公の少年。後に知らされる、この冒険者ハルクにしか見えなかった、少年アウルの魂の脆くて歪で今にも壊れそうなこの魂を、誰がこの子を助けることができるのか?ここでハルクの選択が迫られる、これもまた『巡り』。本来なら旅に出ようと準備していたが、ハルクはアウルを引き取り、仲間の元へ。少年アウルはしゃべることができないが、奴隷商の契約で主人のハルクと二人の時は話ができるようになる。ハルクの仲間たちである、料理人のアキ、治癒師・盾役のダイン、魔法が得意なノーヴェ、リーダーのシュザ。彼らの出会いも、これもまた『巡り』。
仲間たちのそれぞれの家庭の事情を垣間見え、“薬物”に関する事件は、終わったと思っていたら、まだ続いていた。。そして、真獣との接触により、少年アウルの魂に、この真獣の行方不明になった次代の魂の欠片がまじりあっている事がわかり、真獣の愛子となる。今まで少年と自分、虐待を受けていたこの体と、自分の魂の乖離状態を、うすうす感じていたが、捕まった罪人である女冒険者の処刑をもって、体と魂が融合に(171話)に至ることで、砕けた意識体が一つになり、とうとうアウルという人格がやっと完成された。。。。死にたいと思ったこともあったが、この体持ち主の為に死なずに思いとどまっていたが、いや違う、生きたい、生きたいと感じているのは自分だと。。。それに至るまで、これもまた周囲の人間との様々な『巡り』の延長上に得られた結果である。
ハルクという冒険者の何かしらの宿命?運命?も背景に潜み、物語は続く、そして第3章に。。主人公少年アウルの成長と活躍を楽しみにしていると共に、冒険者ハルクの『巡り』のその先に何があるのか?気になってしょうがない。。
また出会ってしまった。
この素晴らしい作品に。。。これもまた『巡り』か?
作者の今後のご活躍に期待しております。

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