盗まれなかった子供

いみもなくわらうあなたのやわらかさと、そのよるべなさ さむすぎるから?



人の耳を、きれいだ、というひとを、ときどき信じないといけない



なぜ月に行かないの? あのひかりへと落ちていきたい叱られるまで 



買い物をしにきた駅でぼんやりともっていかれた聴覚のこと



さてはあなたも地上の虜 町なみにくるくるくるってはどうだろう



夜だって自分探しをするようなクラスルームの出口みたいな



とっておき、とっておきってめぐりくる風がいまさら少年になり



灌木に休んだ小鳥はひっと発つ芝居の外へ出ていくように



行けなかった森の記憶へたどり着くあなたも盗まれなかった子供



にんげんのにんげん嫌いに祝福を。停泊船のおおきな町よ

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ファンタジー短歌集~妖精のうた~ 辻原僚 @tuji_kaku

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