母となりし女ではなく

母となりし女を観察している者こそが主人公であり、その主人公の心象風景が読みどころ。
心象風景のうつりかわりが。
対象にむけるその見方、それにより、主人公のひととなり、感情が浮き上がってきて。
ひとりびとりの個性をくっきり描き出しながら、主人公の心のありようを、その複雑さ、一言で言い表せぬ感情を描出する。
芥川龍之介は、やはりいい。