第2話 寮はどっちなの?

脅威のイケメン、シン・ファストとの会話に少々戸惑っていると後ろの席の少女が助けに出てくれた。


「大丈夫?アリィさん」


 彼女は俺に近づき胸へと抱き寄せてきたのだった。うむ、何がとは言わないが大きいな……羨まし……くわないぞ!


「いくら貴族の中のナンバー1でファスト家長男のあなたでも嫌がる女の子に手出しするのは許さない!」


 彼女の赤い髪と目からメラメラ燃える炎が見える気がする。それにしても赤髪か、転生前ならなかなかいない髪の色だ。それに髪型もなかなか良い、あれはアニメでよく見る髪型ワンサイドアップという髪型だ。


「おっとすまない。アリィちゃんは男性が苦手なのかな?」


 シンさんは穏やかだな、彼女から喧嘩を売られても笑顔で座っている。というか彼女が一方的なだけかもしれない。


「ところで赤髪の少女。君の名は?」


 シンは彼女に名前を聞くが耳を貸さず俺に向かい自己紹介を始めた。


「私はイルア・ラピス。助けを求める少女の味方よ!」


 イルアはどんと胸を叩く。ふと目に入った、イルアの制服は男性服だった。どうやら制服は女性に限り選択が可能みたいだ。

 

「ありがとうございます……イルアさん、俺はおとこ……」


「皆さん席について下さい、ホームルーム始めますよ」


 おっと訂正する前に教師が来てしまった、なんともタイミングの悪い。


 ……シン・ファストは貴族の中の頂点の生まれでさらに容姿が良すぎるため女性からはモテモテだ。

 そして剣術、魔術どの才能も秀でている。


 すべての授業が終わり学校から寮に向かう途中イルアからシンについて聞かされた。いかに淫らな男か……みたいな耳が腐りそうな内容だ。こんなかわいい少女が汚い言葉を使うのは少し引いた。


 さて、ようやく女子寮に着いたようだ……女子寮?俺は女子寮でいいのか?いやダメだろ。


「イルアさん……俺は」


「待ちなさい。アリィ・エリオス」


 イルアに自分が男であることを明かそうとした瞬間にまたもや邪魔が入ってしまった。


「学園長!?」


 イルアは可愛らしく地面に尻餅をつく。


「うむ、イルア・ラピス。少しアリィを借りるぞ」


 学園長……名前は確かライト・ファスト。

 シンのおばさんにあたるらしいがライト学園長はエルフなのに対してシンは普通のヒューマンだ。まぁ深くは知らないが詮索する必要もないだろう。


 イルアは了解しましたと敬礼をして女子寮へと走り去っていった。


「学園長、俺は男なんですけど」


 ライト学園長は俺の耳元まで近寄り耳打ちをする。こんな美人なエルフに耳元で話をされるとなんか変な気分になる。


「君の事情は全て知っている。苦労したぞ」


 耳打ちの次は腕を引っ張り女子寮へと連れてかれた。情報って何を知ってるんだ?


 女子寮に入って真正面には階段、右は寮母の部屋がありその隣の部屋へ。さらに部屋に入るとライト学園長は床下の扉を開ける。そう、地下室に案内された。


 ……どうやら俺は女子寮の地下に住むことになったらしい。でも本来2人部屋なところが1人部屋だ割と良い部屋かもしれない。ただ陽光が当たらないのが気になるが。

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女装魔術師混乱中〜そういえば俺は男だった! 大本日 @himoto1

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