第1話 もしかして女の子だと思われてる?
さて、今日のスケジュールを確認しよう。
今日は入学式が午前9時から始まり12時前に終わる。正確には10時に式が終わり残りの1時間ほど顔合わせをして新入生は寮に入寮することになっている。
ふと、思い出したことがある。転生前のことで俺の小中学生時代、卒業式の日によく失敗をしでかしていた。
例えば小学生時代は卒業証書を貰った後にすっ転で卒業証書を花台の花瓶にぶつけて花瓶を割り一大事になったのだがその後のことは一切覚えていない。
中学生の頃の話は思いだすのも恐ろしい。幸いこの世界での学生生活は1回で済むので是非成功させたい。
なんにせよ卒業までまだ3年ある。気軽に行こうじゃないか。
それはそうとどの世界線でも校長の話は長いんだな…ここでは学園長か。俺はぼけーっと学園長の話を聞き流していると々眠気が襲ってきてきた。
「ひやんっ!」
眠さのあまり俺は口から思わず艶のあるエロい声を放ちながら床に内股で座り込んだ。まさか今回は入学式でやらかすとは…学園長にある視線が一気にこちらに集中する。
「大丈夫?」
隣に立っていた紳士な王子様系のイケメンが倒れた俺に手を差し伸べる。
「はい、ちょっと日差しが強くて……」
何を言ってるんだ俺は!ここは室内だぞ!窓なんて扉にしか付いてない。
「そうか……今日はまるで僕達の入学を祝福するかのように太陽が眩しく光ってるから仕方ないね」
危ない危ない……このイケメンがイケメンじゃなかったら魔法を使ってぶっ飛ばしてたよ。こんな痛い言葉を普通に放てるのはこの世界だからこそ許されるのかもしれないな。実際周りの女子は彼に釘付けに見えるし。
なんとか我を取り戻すが周りからの視線はかなり恥ずかしい。学園長も心配そうにこちらを眺める。
「……お手洗い行ってきます」
俺は視線に耐えられずトイレに逃げ込むことにした。学園長は何か反省したような微妙な顔をしているが気のせいだろう。
「大丈夫ついて行こうか?」
後ろに立っていた女子が親切に声をかけてくれたがもう人と顔を合わせたくないため目すら合わせず断り逃げ去った。
「だぁー!なによあの艶のある声!本当に俺は男なの?」
個室で悶える俺。入学して早々噂もんだな……変態男性学生って異名つけられたら泣くよ俺。
それにしてもあの学園長綺麗だったな……歳も若そうだったし、なによりあの艶やかな金色の髪は神懸かってるな。シャンプー何使ってんだろう……
彼女は耳が長かったしエルフなんだろうな、エルフは初めて見たから少し興奮したよ。
さて、存分に悶え苦しんだし入学式会場に戻ろうか。だが数分しないうちに式が終わり教室へと足を運ぶことになった。
「……体調は大丈夫なのかい」
教室に入り自分の席に着いたのだがなんと隣はあのイケメンだった。
「あっ、さっきはありがとう……」
俺は内股でモジモジしながらお礼を言う。……やっぱり俺って女の子なんじゃないのか?意図せずあざといことしてるぞ。
「ふっ、僕は何もしてないからお礼なんていらないよ。僕の名前はシン・ファスト、シンとでも呼んでくれ」
シンはさりげなくウィンクをかます……なんか彼といると疲れるな。
「……アリィ・エリオスです」
シンの眩しさに少々身を固くしながらも頑張って自己紹介を始めた。
「アリィちゃんか、よろしく!」
その綺麗な手が俺の前に差し出される。俺は何故か彼に恐怖を感じる。震える右手を左で押さえながらシンの手を取ろうとしたのだが。
「アリィちゃん!無理しなくていいんだよ」
背後から邪魔な声が入ってきた……いや救いの声かもしれないな。
ああ、救いの女神様私をあの鬱陶しいほどに眩しい彼からお救いください……てか今気がついたんだけど俺、女の子だと思われてない?普通に制服は男性服なんだけど。
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