第13話 強敵、用心棒の先生現る!
なんてこったい! 俺の方には二人も来やがった。
しかも同じ顔で同じ体型だ。
きっと『幽体離脱ぅ』って技を使って攻撃してくるに違いない。
どんな攻撃かは知らんがw
それにしてもなんだよ、あの丸太のような腕は?
あんなのに殴られたら、一体どうなっちまうんだろう?
あぁ、考えただけでもゾクゾクする。
双子の中ボスは俺と対峙しながら、同じタイミングで両手を腰にやり、同じタイミングで左右のホルダーからナイフを逆手に抜き、両手を挙げて目の横辺りで構える。
ナイフファイティングのポーズだ。
「「俺たちゃ極悪ツインズ、シンとキラだ! 死ぬ覚悟はできたか?」」
ここまで双子は完全にシンクロしている。
「しかたがない。俺たちが『超時空騎士団』と名乗る神髄を見せてやろう!」
斜に構え、ニヒルな笑いを浮かべながら俺が言う。
「「いやいや、見せてくれなんて誰も言ってない」」
首と手をブンブン振る双子。
しかし構わず続ける俺! カッケー!
「ゆくぞ!
奥歯をグッと噛み締めて、『透明化』のスイッチを入れる。
今から30分間、出たり消えたり自由自在だ。
俺は100%透明になって横っ飛びに跳び、更にもう一歩ジャンプして前に進む。
このくらいは消える前に地形を見て覚えておき、見えないままジャンプして移動するという訓練をあれからめっちゃやったので、何とかできるようになっているのだ。メチャメチャ怖いけどね!
そして透明解除。
一瞬で後ろに回り込んだように見えるのだ! 場所が悪いと音がドタドタ鳴ってしまうのがたまにきずだが。
「フハハハハハ。こっちだこっちだ!」
俺は悪役っぽい台詞を吐きながら、手に持っている炎を
直ぐに消えてバックステップ。そして気合いでもうワンステップ。怖ぇぇぇし。
透明を解除して周囲の障害物を記憶する。
あっぶねぇ、壁ギリギリやん。
「「くっそー、瞬間移動なんて有りかよ! ムチャクチャじゃねぇか。どこ行った!?」」
はっはっは、騙されてれる、騙されてれる。
慌ててキョロキョロしているもう一人に向かって『瞬間移動』でヤツの近くに現れて、武器を持つ手の甲を狙って斬りつける。
「ギャ!」と叫んで武器を落としそうになったが、何とかこらえやがった。[白(79)]ファイアダメージは抵抗されて火傷は負わなかった。
もうひと頑張りだ。一二歩とは言え、戦闘中に盲目状態でジャンプするのだ。一歩一歩が大量の精神力を要求してくる。
もう・・・チビリそうだ。
「どうだ悪党。これぞ超時空魔法、瞬間移動の妙技。貴様らは何もできないまま切り刻まれるのだ」
「「ちょ、超時空魔法だとぉ? 聞いたこと無いぞ、そんな魔法」」
どこまでもシンクロしている双子。
「ならばあっちを見てみろ。あちらは我が姫の超時空魔法『超加速』だ」
俺に促されて双子がターシェリーの方を見ると、姫は一人ビデオの早送り状態になってキュルキュル動いて、大男をめった刺しにしている。
「あ、アスランの兄貴がめった刺しにぃぃぃ! 何なんだ? 超時空魔法! オゥ兄弟、こうなったらあいつが消える前にタコ殴りにしようぜ」
「おうともよ、兄弟!」
二人は言い終わる前より早く、同時に動き出す。さすがの双子シンクロだ。
二人は左右に分かれ、俺を挟んだ状態で両手に持ったナイフを器用に使って突く・刺す・斬るの連撃を隙間無く繰り出してくる。
ソレが右側左側の同時攻撃だ。右を避ければ左、左を避ければ右の攻撃を食らってしまう。
[白(48)][白(35)][白(51)][黃(75)][白(42)][白(47)][白(49)]
一気に体力が削られる。
兄弟の必殺コンボだ。
こういうの何て言うんだっけ?
そうだ、『
・・・嵌め殺し・・・嵌め殺し・・・。
思い出した。
俺は前世で『格ゲーチャンプ』だった!
格闘ゲーム界において、北関東一のゲーマーだ。
おいそこ! 北関東一を微妙って言うな! 気にしてんだ!
『スキル『コントローラー』のレベルが0から1になりました。『格闘ゲーム』が使用可能になりました。レベルアップボーナスのコイン3枚と取扱説明書をお受け取りください』
頭の中で誰かの声がした。
ちゃりーん、ちゃりーん、ちゃりーん、パサッ!
虚空から100円玉が3枚と本が一冊出てきて床に落ちた。
うわ! 100円玉だ!
[黃(92)][白(44)][白(39)][黃(87)][白(33)]
てかそんな状況じゃねぇぇぇ。
死ぬる!
クリティカル2回食らってるし。
俺は姿を100%消してしゃがみ込み、屈んだまま数歩ダッシュ。
姿を現したあと、大宴会場の端まで一目散に走る。
双子との距離が欲しかったのだ。
ペロリーメイトを3本一気食いで回復する。[緑(200)][緑(200)][緑(200)]
「
カットラスから炎属性が消えて、氷属性が上書きされる。
双子が追いすがって来る。
俺はテーブルにあったたくさんの酒やスープ等の液体系の物を、テーブルごと引っくり返して床にぶちまけ、床にカットラスを突き刺す。
床にぶちまけた水分が凍る。
「「どわぁぁぁぁぁ!」」
勢いよく走ってきた双子はチュルチュルと凍った床を滑って、同時にワタワタと両手をバタバタさせながら、壁に『ドゲシッ』と顔がへしゃげるくらいぶつけた。
「アァァァイス、バレットぉぉぉぉ」
パンパンパンパン!
剣を持っていない左手を指鉄砲にして、氷の弾丸を双子の顔がへばり付いている壁に向かって撃つ。4つ。[白(111)][白(109)][白(99)][白(103)]
シンとキラに2発づつ凍結弾を壁にへばり付いている顔に打ち込むと、壁と顔が氷属性攻撃の付加能力『凍結』によって2秒間固まっていて身動きが取れない。
2秒有れば十分だ。
「あっはっはっはっはっはっはっはぁぁぁぁ、そらそらそらそらぁぁぁ!」
嬉々として後ろからザクザク背中を切りつけられた二人は、[赤(1)]をコロンと落として気絶した。
「自慢じゃないが、俺は姫と違って正々堂々とは戦わないんだ!!」
気絶した二人に言い放つ俺。
本当に自慢にならん。
「お、おい! たった2人の賊にお前の部下たちはやられてしまったぞ? 私がこの
ネオと呼ばれた山賊ブラッディヤマネコーズのボスと、一緒に酒を酌み交わしているブヨブヨした醜悪な顔の男が言った。
ブヨブヨは全身に金の装飾品を身に着けていて、いかにもな成金クソ野郎だ。
「ゴチャゴチャとうるせぇぞ、ここは俺様の城だ。黙って見てろ! こんなときのために用心棒の先生も雇ってあんだよ。先生っっっ! 出番ですぜぃっっっ!!」
その言葉を合図に奥の引き戸がバン! と開き、左手に酒瓶、右手に半裸の女性獣人の肩に手を回して、彼女の豊かな4つある
「おぅおぅおぅ、オレのお楽しみを邪魔ぁしてくれるやつぁ、どこのどいつだぁ?」
男はかなり不機嫌に入ってきた。
そして酒瓶を俺たちの方に投げつけ、女を壁の方に力任せに押しやった。
「きゃっっ」
服の上から4つある乳の一つを揉まれていた女獣人はよろけて倒れた。
両手が空いた先生は、自身の背中に両手を回して獲物を掴む。
「オレぁ機嫌が悪いんだぁ。今宵の
右手の
「電光石火ぁぁぁぁぁ!」
相手が前回コテンパンにやられたターシェリーだと知った先生は、スキル『電光石火』を使って一目散に走り去った。
「さすが・・・稲妻のような逃げ足のイナズマ・サンダース」
俺がボソッと呟くのと同じように、山賊のボス【ネオ】はぽかんと口を開けて突っ立ていた。
「せ、せんせい・・・?」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
〈あとがき〉
【じょえ】でおま。
ジョエル・ロブションに行ってみたいです。
『山賊の用心棒』という美味しい仕事にありついて、毎日酒池肉林な生活を送っていたイナズマ・サンダース。
朝から晩まで随分良い思いをしたそうです。
羨ましいですw。
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他にはこんなものを書いています。
良かったら覗いて見てください。
【実話。3400文字。完結】
ちょっと留置場に入ってきた。
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「魔王軍VSスパロボ&スーパーヒーロー’S ~魔界から魔王軍50万が東京に攻めてきた件~」
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【実話。『うつ』『解離性同一性障害』記録の為の話し。超不定期連載継続中】
観察日記『妻と13人の別人格との共同生活』
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最後になりましたが、いつも応援してくださる方、さらに重ねて御礼申し上げあげます。
誠にありがとうございます。
感謝しております。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
この度、猫型宇宙人にアブダクトされ、公爵令嬢と使用人の道ならぬ結婚をエサに、美少女スーパー戦隊を率いて世界の平和を守る事になったドM転生者のサンビヴァンです じょえ @aio16
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