第12話 襲撃! 山賊のアジト
朝!
朝日が登ると同時に目が覚める姫は、
俺は朝ご飯の準備だが、敵の目の前では火が炊けないので、パンとチーズのみだ。
朝食後、姫と俺は馬上の人となっている。
俺たちの軍馬ランボルギーナとポーシェも、馬用の兜とプレートメイルを装備して万全の状態だ。
馬用のプレートメイルアーマーは馬の身体をぐるりと囲むように、スカート状に馬体をカバーしている。
馬のプレートメイルも、人間のそれと同じ様に、首・全面・側面といった具合に、いくつかのパーツに別れている。
ランボルギーナのプレートメイルアーマーは当然ミスリル銀製であり、軽量化と剛性を増していて、馬に掛かる負担を軽減している。
色は当然メタリックに輝くワインレッドに仕上がっている。
ポーシェのプレートメイルアーマーは鋼製でランボルギーナのそれより3倍は重い上に強度も弱いが、俺のが普通なのだ。
プレートメイルの色は黒。
ターシェリー様が馬上から信仰している神【軍神シンフォギャー神】に祈りを捧げ、神聖魔法を唱える。
「プロテクション オール!
(※神のお力をお借りして、10分間あらゆる物理ダメージが『―1』される光のアーマーを纏う。『プロテクション』は1呪文に付き1人が対象だが、『オール』は3倍のMP(
ブレス オール!
(※【軍神シンフォギャー神】の息吹が対象に掛かり、アドレナリンが上昇して勇気が沸き上がり、戦闘に対する恐怖心が和らぐ為、『命中と回避に+1』の修正が付く。効果は10分間。『ブレス』は1呪文に付き1人が対象だが・・・以下略)」
神聖魔法が使える姫がシンフォギャー神のご加護を授け終えたので、次は俺の番だ。
「
(※武器に炎の属性を付与して、攻撃が命中したターゲットに追加で火傷ダメージを与える。刀身は常に燃えさかっている。持ち主にダメージは無い。✕2はメインウエポンの『+2フルーレ』と『馬上槍』の2本に掛かっている)
(同じく俺のメインウエポン『カットラス』と『馬上槍』)」
準備は整った。
「
姫が槍を上空に突き上げ、ランボルギーナを走らせる。
ポーシェも走り出す。
目指すは村の中央最奥、大きな屋敷。
「
目標の屋敷に突入する直前、姫が歌を歌い始めた。
それは軍神シンフォギャーの
この魔法は、歌っている間はパーティメンバー全員に『攻撃力+5・攻撃スピード✕1.25・命中+5』の修正が掛かるが、戦闘中だろうとなんだろうと、歌い続けなければ効果が無いという、効果は高いが術者の負担もかなりのものを要求してくる魔法だ。
その為姫は毎朝歌いながら走り込みの練習を欠かさない。
二頭の軍馬は村の中でチラホラ歩いていた野盗の1人や2人を無視して、全速力で駆け抜ける。
野盗の1人は
庭で呑気に朝飯を食っている連中に、4人まとめて馬で体当たりを食らわす。[黄(719)・黄(712)・黄(845)・黄(750)]
「うわぁぁぁ!」
巨大な馬に弾かれた4人は、ボウリングのピンの様に弾け飛んだ。[赤(1)・赤(1)・赤(1)・赤(1)]
「なにごとだぁ!?」
扉がバンッと開いて、屋敷の中から6人ほどの野盗がワラワラ出てくる。
姫が歌っているバトルソングがまるで戦闘のBGMのように、この場を盛り上げる!
ターシェリーと俺は切っ先に炎を纏った馬上槍をブンブン振り回して、野盗の頭や肩に振り下ろし[白(149)・白(166)]、突き刺す[白(202)・黃(668)]。
馬上から斬りかかると、単純に高さ分の重力加速度が上乗せされるので、打ち下ろしはとても有効である。
人馬ともにプレートアーマーを付けた俺たちは、さながら動く要塞だ。
馬も人もちょっとした攻撃は弾いてしまう。
「我らはワインレッド州の騎士、チームゴージャスだ。義によってこの村に巣食う野盗どもの退治に参った!」
「雑兵ども! 命が惜しくないのであらば掛かってきなさい! 命が惜しくば即刻退散なさい!!」
姫が喋っている間は歌の効果が消えてしまうので、直ぐに歌い始める。
大声で宣戦布告をしている間にも、魔法の炎で斬られた部位が火炎持続ダメージ[白(20)]によって、ダメージを喰らい続けていた者が3人、バタバタと[赤(1)]を背中から落として気絶して倒れた。
一頻りの戦闘を終えて
「中に入ります」
馬を降り、屋敷に侵入する。
大きな屋敷と言ってもそれは村の中での話で、ターシュリーの屋敷とは比べるべくもない。
外であれだけの大騒ぎをしていたのに、どうやら中には聞こえなかったようだ。
いや、決してご都合主義じゃないぞ。
彼らはたまたま宴会に夢中で、聞こえなかったんだ。世の中そう言う事もある。な?
「おぉい、酒を持ってこぉぉい。お前は俺の膝に座って酌をしろ!」
正面の部屋から大きなドラ声が聞こえる。
入ってすぐに盗賊たちが
俺と姫は顔を見合わせて頷き、扉の前に立つ。
俺はヒーローに付き物の前口上を戸口で始める。
「天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ。悪を倒せと俺たちを呼ぶ。
北に悪徳商人が居れば、行ってこれを懲らしめる。
南に悪代官が居れば、行ってこれの帯を掴んで投げ飛ばし、グルグルグルグル『あ~れ〜』と言わせて成敗する。
キッチンにゴキブリが出たら、行ってこれを踏んづける。
悪を退治て西東」
ここでターシュリーが『DOGAAAA』っとドアを蹴り開け、部屋に二人でなだれ込む!
「超時空騎士団、チーム・ゴージャスたぁ~俺たちのコトだぁ!
悪党どもぉ、冥土の土産にこの紫の君のお姿を、目ぇ見開いてよぉぉく拝んで逝けぇぇぇぇい」
そこには10人ほどの盗賊が居り、村の女たちに給仕と酌をさせていて、合計20人前後がこの部屋にいるのだが、全員が俺の方をポカンとした顔で見て、その後可哀想な子を見ているような目でこっちを見ていた。
そ、そんな蔑む様な目で俺を見るな!
嬉しくて身体が熱くなるじゃねーか。
「なんだ? てめぇら?」「ぶっころすぞ! ごらぁ」「やんのかぁぁぁ?」「あぁぁぁ?」
一瞬呆気に取られていた入口付近に居た下っ端5人組が、我に返って一斉に立ち上がった。
「キャーァァァァ!」
女たちは悲鳴を上げて部屋の奥に逃げ、隅の方で固まっている。
みな尻尾やケモ耳が生えている。
「なんだぁ? 余興かぁ? おもしれーじゃねーか。 てめーら負けんじゃねーぞ」
先ほど聞いたドラ声はこいつだ。
一番奥でふんぞり返っている大男が、一人の女性を抱きかかえたまま酒を煽り、威張り散らしている。
どうやらあいつがボスのようだ。
「悪党のみな様、
部屋に踏み込み、啖呵を切るターシュリー様!
今回魔導ライトは無しっス。荷物になるから持ってこなかったっス。
ごろつきどもは上半身を低くして、下からねめつけるように姫と俺を見ながら、一歩一歩ゆっくりと近づいてくる。
「はぁ。何だか面倒くさくなりましたわ」
見るからに面倒臭そうなごろつきどもを見て、姫騎士はため息を一つつき、胸プレートの間から【時の砂時計】が付いたメダリオンを引っ張り出す。
同時に奥歯の酸素ボンベのスイッチを入れる。
「加速装置!」
『カチッ!』
ターシュリーは問答無用で時間の流れを遅くして、
それぞれ[白(120前後)]のダメージが背中からを転がり落ちた。
そのあとも彼らは5秒間、毎秒火炎ダメージ[白(20)]を食らうのだ。
見えてはいるが、全く身体が反応できないターシュリーの超加速された動きに、彼らは為す術も無く、刺されるわ火傷を負わされるわで、士気はボロボロだ。
「アチッ、アチィ! なんだこいつぅぅぅ? 変な魔法を使いやがりますぜ、兄貴ぃぃぃ」
「ちっっ、しょーがねぇなー。おいお前ら、そっち回って出口固めとけ、泣く子も黙る山賊団、俺たち【ブラッディ・ヤマネコーズ】をコケにしたことを後悔させてやるぜ! 兄弟、おめぇら2人はあの黒いのヤッとけ。俺様は大事な子分をいたぶってくれた、このド派手な紫色の騎士をヤル!」
ボスの前に座っていた居た男3人が立ち上がると、彼らは山のように大きな身体をしていて、絵に描いたような中ボス3兄弟だ!
3人とも上半身はビリビリに破れたベストを羽織っているのみで、見るからに屈強な肉体を見せ付けている。
「姫、コイツらはちょっと手こずりそうッスね」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
〈あとがき〉
○本広告審査機構の【じょえ】です。
ってソレは【ジャ○】じゃろぉ!
第12話、もう少し早く書けるかと思ったのですが、やっぱり時間掛かっちゃったw
『戦姫絶唱シンフォ○ア』もうちょっとまともに観ておけば良かった。
ちょっと後悔しました。
何処かでまとめて再放送しないかなぁ。
いつも読んでくださってありがとうございます!
感謝しております。
感謝感謝!!!!
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
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