悪魔と契約して願いを叶えてもらう。悪魔よ俺に最高の◯◯◯をさせてくれ!!

もふもふ大好き すぐお腹痛くなるマン

第1話

駅の近くにありがちな古本屋。


「サルでもわかる黒魔術!!悪魔召喚編!大特価10円!!著者 明日喪出有須あすもでうす


ふむ…。


「ありあっした~~」




深夜


閑静な住宅地の一角。


少し大きめの2階建ての一軒家。父、母、子供3人の5人家族。何の変哲もないふつ~の家。みんな寝静まっていた。


一人を除いて。






「準備万端整った。俺に抜かりはない。後はタイミングのみ…。」



8畳程の大きめの一人部屋。


今は部屋全体が、赤い幾何学模様で染められ地獄のようなセンスになっている。


この部屋の住人である少年は、部屋の中心で目を閉じ、静かに佇んでいるのみ。



「時間だ…」



少年は呟くと共に目を開き、厳かに言葉を紡ぐ。



「しんえんに みをひたすものよ~ しんえんなるちしきにて ばんのうのけんのうをふるいしもの

わがよびごえにこたえ~そのみをあらわしたまへ!」



「………。」



「ッチ!ガセだったか…。非常に丁寧で分かりやすく書いてあったのだが…。残念だ。明日喪出有須先生…。」


少年は、真っ黒で妙な手触りのする分厚い本を適当に放り投げる。


「さて、部屋の片づけはどう────!!」


「ahfhLa]ad@a839ydasc;a」


本のページが凄まじい勢いで勝手に捲れ上がっていく。


部屋に描かれた幾何学模様が、脈打つように発光する。


通常では起こりえない現象に、少年は恐怖の感情を抱く────


のではなく、喜びに表情を歪めていた。


「ハハハハハハッ!」


彼が小さな笑い声を漏らしていると────


本が動きを止めた、その直後に部屋が赤い光に包まれた。








そして────



なんじが我を呼び出したものか?」



黒いもやに覆われ、全容を把握できない正体不明の何かが少年に問いを投げつける。


少年は歓喜の表情でその問いに頷いてみせる。


「ああそうだ。俺がお前を呼び出した。願いを叶えてもらいたくてな…。対価を払えば、願いを叶えてくれるという認識に間違いはないか?」




「ああそうとも!その通りだ!さぁ 願いを口にするがいい。」


悪魔?は俺に近づくと、耳元で、甘く ねっとりと 誘うように言葉を紡ぐ。


われが権能でもってあらゆる願いを叶えてやろう。ただし、それに見合った対価をいただくがな。」


悪魔は依然、靄に包まれたままだが、目と思われる部位だけは、はっきりと見える。血のように赤く、爬虫類じみた瞳孔…。


「必ず叶えてくれるのか?もし叶えられなければどうなる?」   


「………。ははははハハハハハっ!!!なんと傲慢ごうまんな人間か!小賢こざかしい猿ごときが不遜ふそんにも我が力を疑うとは!!なんと無知蒙昧むちもうまいやからか…。その無礼、万死に値する!!」


濃密な殺気が少年に向けられる。尋常じんじょうの存在ではないものの殺気にてられ、少年は────


「そんなことはどうでもいい。で?どうなんだ?」


特にこたえた様子もなく質問を繰り返した。凄まじい勇気を持つ傑物、もしくはとんでもないクソ度胸か、底なしの鈍感野郎である。



「………。ツマランナ…。まぁ、叶えられないなどということは、万に一つも、いや億が一にもあり得ないだろう。しかし────もしも!億が一!!私が貴様の願いを叶えることが不可能だと、心の底から判断した場合!!私は貴様に未来永劫服従することになる。勿論、契約者殿に不利益をもたらすこともあるまいよ。」


最後に、「あり得ぬがな」と小さく漏らす悪魔。


「納得して貰えたかな?」


「ああ。」


「それは良かった。では、願いを口にするがいい。その願いに応じた対価を我が────」


「ふむ。いや、対価に差し出すものは、俺の全てにする。」


「…なに?」


「そして俺の願いは────」


「っ!!」(謀られたか!!)


悪魔の雰囲気が変わる。

対価に全てを差し出す。知ってか知らずか、この時点で、ほぼどんな契約でも可能になってしまった。


契約の内容自体では、悪魔自身にとって不利益になりる可能性が出てしまう。契約が完了してしまえば、ほぼ契約者には手を出せない。


故に────願いを口にし、契約が完了する前に彼を始末するために動く。が────



遅かった。









「────至高の女性と、想定しうる最っ高のS〇Xすることだ。」


悪魔と少年に禍々しい鎖が絡みつきお互いを繋ぐ。鎖は直ぐに見えなくなった。



「──── ──── ──── なんだと?」




「至高の女性と、想定しうる最っ高のS〇Xすることだ。」



「      」

悪魔絶句。



「お前は頭がおかしい。」


「よく言われる。」


「…。まぁいい。(一瞬でも焦ったのが馬鹿みたいだ…。)人間の掌握しょうあくなど、我にとっては赤子の手を捻るようなものよ。」



「ほう!!頼もしいな!!」(爽やかな笑顔)



「…。貴様の願いが叶えば、契約通り貴様の全てをいただく。魂さえも。」


「ああ!!」(とびっきり気持ちのいい笑顔)


「…。(ぶっちぎりでヤバい奴や…。正直こんな気持ちの悪い奴の魂いらない…。変な気配に釣られて出てくるんじゃなかった…。)」



「俺のは、二条春にじょうはる よろしく頼む。」


「…あぁ」


「悪魔。あんたのことは何と呼べばいい?さすがに悪魔では味気ないからな。」



「別に悪魔で構わんが…。契約者殿が気にするのであれば…、そうだな、ゼル とでも呼んでもらおうか。」


「ゼルか…。承知した。」


春は深く頷いた後、一気にまくしたてる!



「では、ゼル、俺の至高の相手の絶対条件を教えておこう。まず、処女でなければいけない。俺は童貞だからな。立場は同じでなければダメだ。貫通済みのやからに、俺の息子を突っ込むなど…!!考えただけで怖気が走るわ!!失礼、取り乱した。

容姿に関しても、勿論美しくなければダメだ。最低でも一流の女優レベルは欲しいな。スタイルについて俺は寛容かんようだ。スレンダーで美しいラインをしていればそれでいい。胸や尻の大きさでワーワー騒ぐサルではない。あの連中はもっとつつしみを持たねばイカン。おっと話が逸れたな。申し訳ない。ムダ毛の処理なども完璧な子がいい。いざというときにえてしまうからな。わはは。ただまぁ、程度にもよるだろう。相手の雰囲気によってはスパイスになることもあるだろう。要検討だな!後で二人で詳しくめるとしよう。まぁ、俺は童貞だ。詳しく女性のことなど分らん。今のところ俺が望む女性像はこんなものだ。

次に、俺が提唱する最高のS〇Xの条件だが、やはりお互いのことを思いあっていなければいけない。ああ、勘違いしないでくれ。もちろん偽物の感情でも構わない。要は行為の最中はその気持ちを持っていてくれればいいだけなんだ。俺が気持ち良ければそれでいい。(にっこり)後は、そうだな。行為の際、相手と俺の身体能力を向上させることは可能だろうか?少なくとも24時間は行為に及びたい。休むことなく獣のようにな。(爽やかな笑顔)────エトセトラエトセトラ。」



楽し気に狂気染みた思想を垂れ流す春にゼルは



「きもちわるい」


「むっ!失礼だなゼル。」








契約から1か月後




「なんなんだよぉ!!!お前はよぉ!!!!なんでわれが権能までつかって好感度稼いでるのに!!それを上回る勢いで好感度を下げられるんだよ!!!ふざけんなよ!!!どうなってんだよ…。本当によぉ…。」


「仕方あるまい。彼女は容姿こそ素晴らしかったが、近づいた時に気づいてしまったんだ…。彼女の口臭に…。俺も辛かった。しかし、気づいたからには指摘しなければなるまい。お互いのためにもそれが最善だ、正義なんだ。間違ったまま進む彼女を放っておくことなど────俺にはできん。(キリッ)…俺の考えは間違っているか?なぁゼル?(憂い顔)」


「糞みたいな考えをもって、悪魔に縋っている奴が我に正義を説くな!!!ぶっ殺すぞ!!大体!もっと言い方があるだろう!!なんでオブラートに包まない!?直接的すぎんだよ!!!」


「ふむ…。難しいな…。」


「あぁ!!お前はこういったんだぞ!!!」



回想


「春さん…ごめんなさい。会ったばかりなのに…。私、あなたのことが────」(美しい女性 潤んだ瞳)


「すまない。それ以上近づかないでもらえるか?」


「えっ」(美しい女性 悲しい顔)


「君の口臭が酷いんだ。かなりの悪臭だ。歯をしっかり磨いているのか?舌苔の掃除、フロスケアはしっかりやっているのか?一度歯医者にも行った方がいい。」


「………。」(口臭が酷い美しい女性)



回想終了



「馬鹿かよ!!頭おかしいだろ!!あの女すさまじい勢いでお前のこと嫌いになってたぞ!俺の権能、けてな!!」



「ふむ…。まぁ、過ぎたことを気にしても始まらない。今回の経験は次に活かすとしよう。なぁに、まだ一か月。始めたばかりじゃないか。はははっ。」



「ブチィ!!!!」(何かが切れる音)


「てめぇはよぉ!!!この一か月!!その反省を!!活かせたことが!あったのかよっ!!!毎回同じような結果じゃねぇか!!お前のデリカシーとか、知能、どこに置いてきちまったんだよ!!」


「はははっ。ゼルは元気がいいなぁ。なんかいい事でもあったのか?」


「naiogjSOPagpgmra:g]aa[@ajotjgp!!!!!!」









半年後


「お前はもうしゃべらないでくれ…。頼む。ただ、立って適当にほほ笑んでくれるだけでいい。それだけいいんだ…。後は、我が全力でもって権能を用い、春の望みをかなえてやるからっ…。」(悪魔たる我が、人如きに頭を下げることなど恥辱の極みなれど……。)



「しかしゼルよ。俺はなにか間違ったことを言ったか?」


「………」


「俺は彼女が寒いというから────ならば何故ミニスカートの上、素足を晒しているのかと、聞いただけだぞ?理解に苦しむ…。そのうえ────」



「いやだぁ~~~~!!もぉ聞きたくない~!!」


「!!ゼルッ、どこへ行くんだっ!!!ゼルぅぅ~~~~!!!!」






いちねんご


「おおっ!今週のワン〇ース面白れぇ。おい春!単行本見直そうぜ!!伏線が気になる!!」



「…。ほら。」


「おう。サンキュ~」


「なぁ、ゼル…。こんなことでいいのか?」


「…んだよ…。説教かよ春…。」


「もうしばらく、俺の願いを────」


「もう無理だよ…。お前の願いは叶わない…。お前は至高の女性どころか、ホモサピエンス ヒト属の雌とS〇Xすることも叶わないだろう。お前は一生童貞だ…。我の権能もお前の前には無力だった…。お前は我を凌駕する人間だった…。誇るといい。悪魔に打ち勝った勇者よ。」


「むぅ。それは困るな…。だがゼルよ。まだ、服従することを選んだわけではあるまい。この絡みついた鎖が教えてくれている…。ゼルがまだ完全に諦めているわけでないことを。」


「…。」


「ゼル。聞いてくれ────いくら時間をかけてもいい。少し位休んだっていいんだ。(にっこり)だけどな、諦めちゃあいけない。諦めなければ、挫けてもいい、へこたれてもいい、泣いたっていいんだ。ただ────諦めることだけはダメだ。」



「春…」


「諦めないやつが!!最後まで踏ん張って、歯を食いしばりながらも進んでいけるやつが────本当にすごいやつなんだ!!」





「だからゼル…。もう少し頑張ってみな────」



「春。我はお前を心の底からぶっ殺したい。」



( ´・ω・)





終わり



下品で済まない…。





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