最後の言葉は母の言葉ではなく、王妃の言葉だった。城にただよう、未知なる次代への不安。不完全な世代交代と、それを付け狙う周辺国の動き。母の死を悲しむ、幼い妹。この地で、誰も殺させはさせない。妹には、人前で泣く時間がまだあっていいはずだ。そうして若きカエルムは、不安を押し込め、一人で背負い込むことを決めるが…。道の途中だからこそ向かう、南天の一等星への物語です。