社会に行きるすべての疲れた人へ! 尊み+マイナスイオンに癒されて!!

 だずんさんの凄さは、圧倒的な描写力にあります。
 さりとて長々とした描写はほとんどありません。かわりに、世界観に読者を引きずりこむことで、最低限の情報量で圧倒的な描写力を発揮してみせる。これは本当にすごいことです。

 その支えとなっているのが、だずんさんの天才的な一人称の描き方だと思います。行動などを具に描写するというよりは、主人公の心の声をベースに物語を進めていきます。これが圧倒的な──「世界観力」とでもいいましょうか──没入間を作品に与えています。

 本作は、茹だるような暑さの中、風鈴よろしく清涼感をくれるせせらぎを連想させるシーンから始まります。煌めく水面に揺れる綺麗な魚、朗らかな声で囀る鳥。字面だけでマイナスイオンを感じまくれてしまうような、そんな世界に冒頭から浸り、癒されることができます。
 
 そしてそこで繰り広げられる二人の純な愛がとにかく尊い! 微塵もいやらしさがない! 何度も言うけどとにかく尊い! 最後のセリフに読者は卒倒必至です。

 私が息切れしてきたところで、最後に言わせてください。

 だずんさんの圧倒的「世界観力」で紡がれる、畢竟人々を真に癒す愛と自然の世界に、あなたも浸ってみませんか──?