第25話 集団リンチは見るに耐えない
「ぎゃぁぁぁぁああ!!」
ちょっとこれは多すぎるって!
「きゃはははーん!!!」
ウィッチの軍勢は俺に向かって火の玉をうってくる。
走って逃げているがなかなか振り解けない。
魔法タイプのスキル『ファイヤーボール』は今の俺の魔法防御力があれば対してダメージは受けないのだが、流石にこの量はヤバい。
1匹ぐらいは何てことないと思い、中途半端に手を出したのがいけなかった。
試験が開始してすぐに、沢山いた受験者は散り散りになって最下層を目指し始めた。
それでも二階層まではまばらと近くに人はいたのだが3階層への階段を見つけた頃には誰もいなくなっていた。
通路の途中、単体でいたウィッチを見つけた俺は軽い気持ちで
「『私益世界』でステータス奪うべ。」
と戦闘体制になり斧を構える。
いざとなれば逃げればいいと考えていた。
「きゃはははーん!」
俺の姿を見るとすかさずウィッチは手のひらを俺の方に向け、火の玉を出して攻撃し始めた。
「あっぶね!」
なんとか間一髪で避けることは成功した。
「ふぅ…あれが『ファイヤーボール』か。でも今ので見切ったぞ。覚悟しや、が、れ…え?」
「きゃっはー!」
いつの間にかウィッチの後ろに、さらに10匹ほど俺に向かって火の玉を構えていた。
「増えとるー!!」
これはもしかしてやばいですかね?
ウィッチ達はニヤニヤ笑いながら『ファイヤーボール』を放ち始めた。
「あわわ、戦略的てったーい!!」
10匹のウィッチによる集団リンチが始まった。
「「きゃはは!」」
多勢に無勢、スキルを乱射してくるもんだがら距離が詰められない。
俺はなすすべなく逃亡を選択した。
で、今に至る。
しつこい!
もうここまで追ってくることなんてないだろうがよ!
かれこれ2、3分くらい追いかけっこしているが、ウィッチ達が諦めてくれる様子はなかった。
幸いなことにウィッチはそこまで素早さがないので、追いつかれることはないのだろうが俺の体力が持つかどうかだよな…
おっ!前方、進行方向に扉あり!
「小加速発動!」
ウィッチ達からの猛攻を防ぎながら扉を開けて、部屋の中に逃げ込む。
部屋の中に入って扉を押さえ込む。
ウィッチ達が中に入ろうと扉をバンバン叩いてきたり、ドアノブをガチャガチャさせるが耐える。
そのうち扉から騒音はしなくなった。
「静かになったな…」
扉を少しだけ開けて覗き込む。
「…もう行ったみたいだな。」
周囲の安全を確認し、扉を素早く開けて、閉めて、部屋の外へと出る。
二、三歩、斧を構えながら前に進む。
「きゃっはー!」
突然声がしたと思ったら、目の前にウィッチ達が何もないところから湧いて出てきた。
「やべっ!」
急いで扉を開けて中に入るが
「きゃっはー!」
扉を開けると、戻ろうとした部屋の中にはなぜかウィッチが何匹か待ち構えていた。
なんで中にいるんだよ!
いつの間に入ったんだこいつら!
これもスキルの一つなのか?
逃げ道を完全になくした俺はやけになった。
もう追いかけっことかくれんぼはやめじゃい!
どうにでもなれ!
斧を振り上げて順番に倒していく。
「きゃは!?」
あら、ランクCのモンスターにしては柔らかい。
簡単に切り刻める。
ウィッチは人間のおばさんみたいな見た目をしているせいで、なんだか人殺しをしているような感覚になった。
スキルを多用できるかわりにステータスが低いのだろうか?
こんなやつにビビっていたのか俺は…
そう思うとなんだか情けなく思えてきた。
「こっからは俺のターンじゃい!」
さっきまで逃げてばっかりだった俺が急に反撃し始めたせいか、ウィッチ達の余裕が消える。
意外とあっけなかった。
『ファイヤーボール』も必死に放ってくるが落ち着いて対処すればどうってことない。
よく見れば目で追える速さだ。
それにDEX値、命中率も低いのか全く見当違いの所を狙っているやつもいた。
4匹ぐらい倒したところでウィッチ達は逃げ始めた。
ランクが高いモンスターは知性がつくぶん、逃げるこもがある。
今回はなんとか助かったようだ。
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
『私益世界』自動発動しました。
【使用回数0/13】【23:59】
※一度の戦闘で使用回数を超えるモンスターを討伐したため、『私益世界』はこれより24時間、時間による回復をしなくなります。
これによりステータスが上昇します。
対象:ウィッチ
HP +48 MP +127
ATK+12 DEF+21 AGI+54
INT+108 MD +62 DEX+30
LUK+1 SPI+3
対象:ウィッチ
HP +48 MP +127
ATK+12 DEF+21 AGI+54
INT+108 MD +62 DEX+30
LUK+1 SPI+3
対象:ウィッチ(減少)
HP +24 MP +63
ATK+6 DEF+10 AGI+27
INT+54 MD +31 DEX+15
LUK+0 SPI+1
獲得スキル:ファイヤーボール×3
姿消し×3
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
NAME:小林智也 Lv13
HP :634/634 MP:613/613
ATK:448 DEF:558 AGI:578
INT:480 MD:504 DEX:283
LUK:36 SPI:109 LER:G
特殊スキル:私益世界【使用回数0/13】
スキル :咆哮 チェンジ 噛みつく 透明化
小加速 ファイヤーボール 姿消し
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
今回新しく2つもスキルが追加された。
『ファイヤーボール』は言わずもがな、あの火の玉を飛ばすスキルだろう。
『姿消し』というのは『透明化』と何が違うのだろうか。
ワクワクしながら新しいスキルの確認を始める。
ROB《ロブ》〜成長性ゴミだけど強くなりたいです!〜 キャロット @kyarotto777
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ROB《ロブ》〜成長性ゴミだけど強くなりたいです!〜の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます