星の散歩

「むかしむかし、あるところに、一匹の猫がいました。」
「ある日、空から声が聞こえ、猫はお星様とお話しするようになりました。」
「ある日、お星様は言いました。」
『…君は、星になりたいかい？』
「猫はとってもよろこびました。」
「それから、いろんなお星様と出会って、いろんなお話をしました。」
「猫は、とっても満足でした。」
「…けれど、あの時、自分がまだ、一匹の猫だったとき、優しく話しかけてくれた、あのお星様とだけは」
「―――あれから一度も話せていないのです。」