第2話 学校の日常
肌を刺すような陽射しと蒸しかえるような熱気に、肉体と精神を擦り減らしながら歩いていく。
熱気のせいで汗が大量にふきだして、1日が始まったばかりだというのに、既に汗で下着はプールに飛び込んだ状態になっている。
あたりには同じように、暑さに悶えている生徒がゾンビのように呻きながら歩いている。
辛い気持ちを押し殺し進んで行くと、やっとゆらゆらと陽炎のようにうねっている正門が見えてきた。
正門では教師が暑い中わざわざ服装チェックをしていて、引っかかって怒られているやつもチラホラいるようだ。
俺は無事にそのチェックをスルーしてゲタ箱に向かって、足取りが重くなるのを感じながらノロノロと歩いていく。
靴を履き替えようと扉を開くと、俺の上履きはいつの通り消えていた。
上履きの変わりかしらないが、ご丁寧にゴミまでぶちまけてくれている。
こんな暇があるなら他の有意義なものに使えと思いながら、慣れた手つきでゴミを処理していく。
その光景を他の生徒達は我関せず状態で、ヒソヒソ笑う奴や関わらないようにスルーする奴などしかいない。
そういう視線や態度にも慣れてしまったので、今では羞恥の心などなくなってしまっている。
片付け終えた俺は上履きを探すのも面倒なので、そのまま教室に向かう。
教室近くまで来た俺は掃除用の雑巾を手に取り、水道の蛇口を捻り水を出す。
雑巾を水で濡らしてから、両手で思い切り引き絞る。
俺と同じようにシナシナになった雑巾を持って自分の教室へ向かう。
少し立て付けの悪い教室のドアを開くと、一瞬クラスの視線が俺に集まる。
だが、俺だと分かると何事もなかったかのように各自元の会話に戻った。
自分の席に着くと案の定死ねだのなんだのと、罵詈雑言が机に書かれている。
こんなことをする暇があるなら、少しは有意義なことに時間を使えよと内心悪態を付きつつ雑巾で机を拭いていく。
拭いてる間は先ほどとは違い、様々な視線が自分に向いている。ある人は嘲笑、またある人は同情の目で俺をチラチラと見てくる。
コイツラの考えてることは皆同じだろう。
皆自分じゃなくて良かったとしか思っていて、他人事としか捉えていない。
俺も同じ状況なら同じように考えて、同じように自分を守る為に行動するから文句は言えない。
どうにか、朝会が始まる前に机を綺麗にすることができ、他に余計なことをされてないか確認しつつ席につく。
朝から余計な体力を使わされたが、今日で終わると思うと何だか清々しい気持ちになった。
逝きたい僕と生かせたい幽霊少女 樊崇紫光 @puikyua117
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