人魚inカート
鈴音
お散歩
私の彼女は人魚。越してきたこの街の浜辺で冬眠していたら、人間のゴミに埋め立てられていた。
そんな彼女を掘り起こし、付き合い始めた私たちは、毎日一緒に浜辺でお話をしていたのだが、彼女が
「街を歩きたい!」
と、言い出したことで、私は頭を抱えてしまった。考えに考え、頭を捻った結果、近所のスーパーの古くなったショッピングカートを貰い、そこにアクリルでできた水槽を作り、耐久チェックをして彼女専用の荷車を作ってみた。
すると、これを彼女は気に入り、ヒレをぴちぴちさせながら喜び、その水槽に納まった。少し窮屈そうだったけれど、初めてコンクリートの上を歩く…進むことが出来て、本当に楽しそうだった。
ヒレが乾くからと、時折水をかけてあげながら、商店街をめぐり、話題の食べ物や綺麗な服、アクセサリーを買って、浜辺に帰った。
そうして、別れの挨拶をしたその時に
「今度、家に行くから私が住めるようにして」
…この一言が、本当に嬉しかった。ので、一軒家を建てた。…これ、また転勤なったらどしようか
人魚inカート 鈴音 @mesolem
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