昆虫食が当たり前に

夕日ゆうや

養殖

 俺は漁師だ。

 最近ではイカの養殖を行っている。

 近年イカのとりすぎで、海洋資源は徐々に減ってきている。

 そこでイカの養殖だ。イカは暴れることが多いので養殖するのは大変だが、餌に乾燥したコオロギの粉末を混ぜることでイカの質は良好。

 昆虫食が増えてきた今日この頃。

 俺は家に帰ると、犬のポチにドッグフードをあげる。これにもコオロギが含まれているらしい。

 夕食にコオロギの素揚げが出てくる。

「しかし、素揚げは見た目がな……」

「ちょっと、調理するのも大変なんだからね」

「それに関しては感謝しています」

 俺はペコリと頭を下げて夕食を食べ始める。

 妻もそれを見て微笑む。

 昆虫食が当たり前になった昨今。

 高タンパク質でビタミンも多いから貴重な食材になる。


 人口は増えすぎた。


 食糧問題を解決すべく動き出した世界。

 だがそれは遅すぎた。

 俺の家のように第一次産業を支えているもの以外はすべてロボット・機械化されて職を失った。

 もう人間のやることなんてないのかもしれない。


 社会にとって人間は必要なのだろうか?

 国には必要ないのかもしれない。

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