何者にも止められぬ崇高な冒険心を。その先に何があろうとも。

冬景色に憧れたセミの童話です。

トカゲに冬景色の美しさを聞き、他のセミが諦める中、一匹だけが立ち上がり……。

たとえその先に破滅が待っていたとしても、恐れずに憧れへ向かっていく勇ましさ、そして散る切なさ、仲間の温かさが、美しく描き出されます。

何度でも繰り返されるであろう冒険心を、静かに肯定し見守る、慈愛に満ちた小説でした。