誰もが気にすることを書いてくれた人生。

五寸だの六寸だの書かれてもピンとこず。昔はお釈迦様が内供の鼻を元に戻してくれたんだろうと、子供心に思っていましたが。鼻が気になる。でも気にしていることを知られたくない。
かと言ってやっぱり他人のが気になって自分のと比べちゃう。テストの点だったり、持っているグッズの数だったり、自分の髪の癖毛具合だったり。
芥川龍之介、さん。貴方はとてもよいお話を書いてくれました。皆が気にすることを気にするままに、気になったまま書いてくれる。読んでみて思うのです。あなた、内供さま、あなたの鼻を踏むことはできませんが、毛抜きでぶつぶつとしたものを抜くことはさせて欲しい。
わたしもまた、戻したいものがあり、それはとても言いづらく、しかし戻ったなら、人生が一変するものなのです。内供。あなたの清々しい、寝巻き姿と、輝く日が、目に浮かぶようです。