終章

塙貴壱朗「たしか海坂版は昔、家督相続で藩が二分され、激しい争いがあったとか」

イメージシーンはいる

赤ん坊の善之助の頬を、そっと撫でてやる武骨な指

善之助を抱く母親に、何かを伝える殿様の身なりをした男

力強くうなづく善之助の母親

塙貴壱朗「本当に愛した女とその子供を、争いに巻き込みたくなかった。……といってもこれは、勝手な想像ですが」


ニッコリと笑う塙貴壱朗。

塙貴壱朗「そんなに外れた想像でもないと思うんですけどねぇ」

鈴木善之助「しかし……それではあの夜、拙者が見た母は?」

塙、鈴木のこけしのコレクションをいくつかピックアップして並べる

塙貴壱朗「全部同じ職人が作った物です。……と言うことは、鈴木殿の両親は何年かに一度、会っていたかもしれませぬ」

塙貴壱朗「しかし世を忍ぶ身、子を堕ろさねばならぬ事情のひとつやふたつは、あったでしょうね」


煙草を一服すると、急に立ち上がる塙

塙貴壱朗「さて、ここは離れですから家の者も近寄らない。町内をグルリと一回りしてきますから、この方を嫁にするかしないか、その間にじっくり話し合うのも悪くはないでしょう」

見つめ合う善之助と女

頬を赤らめ、少し照れた様子


壱六堂の外

塙貴壱朗「良い天気だなぁ……」

う~んと、ノビをする塙

背後から声を掛ける雪乃

雪乃「あら塙先生、どこかにお出掛けですか?」

塙貴壱朗「いや、町内を一回りしながら雪女のことについて、考えようかと思ってね」

雪乃「じゃああたしも、お供しま~す!」

はしゃぐ雪乃といっしょに、町をそぞろ歩く塙の姿で終わり

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紅い雪 篁千夏 @chinatsu_takamura

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