推理小説家として挫折し、しがない雑文を書いてしのいでいた主人公が、突然殴られ、気絶してしまう。
気がついたら、そこは不思議な世界。しかし、驚く間もなく浴びせられた言葉は、子爵令嬢の殺害容疑! さらに、死刑判決! そして、土牢への投獄だった。
主人公は、自らの冤罪をはらせるのだろうか……?
ここまでは、異世界転移の物語。
でも、ここから先がミステリーなのです。
土牢に拘束された主人公が、安楽椅子探偵のごとく、同室の死刑囚の冤罪と思しき事件を解き明かしていきます。
事件は古典的なネタばかりでも、推理の破綻はなく、しっかりと解決に導いていってくれるのですが……?
その間に間に挟み込まれた小ネタがおもしろいのです。語り口が楽しいのです。
年配の読者さまは懐かしさを覚え、若い読者さまは新鮮に感じるかもしれません。随所に飛びだす有名人にも驚かされることでしょう。この物語最後の登場人物も秀逸すぎます。
もう、全編で笑ってしまうかも……。