サブキャラクター

カイトとの暮らしを得て、アルフレッドはサイトレベルを5へとあげていた。新しく増えた五人の家族との生活も充実し、¥の稼ぎも効率が良くなった。



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ネーム   :アル

生まれ   :貴族/侯爵家【SR】

才能    :ゲームサイト【UR】

サイトレベル:5

PCスペック:2

<所持金>

¥26000


<サイトスキル>

遊ぶ  :選択可能ゲームを遊べる

取り出す:ゲーム内アイテムを取り出せる

持ち込む:取り出したものを他のゲーム内に持ち込める

課金  :ゲーム内マネーを課金通貨の『¥』に替える

着せ替え:アバターの着せ替えが可能になる

マネキン:アバターの着替えを瞬時に切り替え(1/2)


<ゲームスキル>

二窓  :ゲーム内でもう一つのゲームに追加ログインが可能

精神集中:ゲームの世界に精神を潜り込ませる

精神切替:精神集中をしたまま他のキャラへ思考を潜り込ませられる

行動命令:精神切り替え中のキャラをNPC化


<選択可能ゲーム:2/3>

◆ハッピーベジタブル:農園レベル6/野菜20種

◆チョコットアイランド

①アル:LV20/炎:フレム、バーン

②キャラを設定してください

③キャラを設定してください

④キャラを設定してください

⑤キャラを設定してください

◆遊ぶゲームを選択してください

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新しく増えたのはマネキンと精神切替と行動命令だ。

無駄にキャラ枠を買い込んだアルフレッドは、新規キャラをどのように作っていこうかと考える。

魔法を扱う事は憧れだったが、犠牲にするものが多すぎる。


近くでカイトを見てきたのもあり、戦士も良いなと考えを変えていたのだ。そこでカイトとは張り合わず、重戦士で行こうと選択。

真っ黒な鎧の騎士。ネームはレッドとした。

アルフレッドのレッドである。

アルとは別のキャラとして名前の一部を使ったのだ。

そして漆黒騎士にしたいというイメージに沿わせて属性も闇とする。


成長ステータスはPOWとVIT。

POWがメインに、VITをサブとする。

遠距離は苦手だが、近接にて最強の守りとなる。

VITを上げるのでHPの成長が早く、アルとは別の面白さが見えてくるだろう。


もちろん別のルームでのレベリングだ。

あの家族との生活にこの重苦しい雰囲気は似合わないし、亜人の街に異物が混じり込んだ感じさえする。


サイトレベルが5になったからか、チョコットアイランドの方にも変化が起きていた。

今まで行けるマップは草原と森、火山くらいだったのだが、新たに塔が行けるようになっていた。


明らかに異質な雰囲気。

闇を好みそうな者たちが集まる世界観だ。


暗黒騎士のレッドに相応しいとし、レベル15からのレベリング場所をそこにした。

その時だ、カイトと同じようにログインした者を発見したのは。



<アルテイシアさんがログインしました>



フレンドがログインした時にのみ現れるメッセージ。

カイトとも、ミーアとも違う。

ただなんとなく、ハッピーベジタブルのフレンドなのだろうと直感する。


その子は闇に溶けるような黒のローブを纏い、そして闇の中で光る赤い目が特徴的だ。口元には一筋の赤い汁跡。手にはモブの暗闇バットを持っている。



「鎧騎士、血の通わぬ相手は好きじゃないのよね」


「………」



少女、アルテイシアは長く伸ばした爪をレッドへと振り抜いた。

レッドもまた臨戦体制へと移行する。

黙々と作業していたので喋るタイミングを逃してしまったのだ。


そして寡黙な騎士もカッコいいと思っている。


VITを30まで上げ、守護盾で+80されたレッドの守備力は140。塔のモンスターからの攻撃でもダメージを1に抑えるのだが、アルテイシアの攻撃は30ものダメージを与えていた。


最大HPは210。30ダメージはそれなりに高い数値だった。



「へえ、一撃で死なないとはやるわね」


「驚いた、オレの防御を貫くとは」


「喋った!?」


「喋ったらダメだったか?」


「ダメじゃないけど調子が狂うわ。私は命を刈り取る者よ? 食料とお話ししてたら頭がおかしくなっちゃうわ」


「ほう、オレも食うと?」



レッドが剣を腰に構えて迎撃の構えを取る。



「そのつもりだけど?」



アルテイシアは意味深に笑う。

強者同士の激突はすぐそこまできていた。


レッドが仕掛ける。アルテイシアは大ぶりな一撃を余裕の表情で交わす。ウスノロ、と罵倒しながら大剣の峰に乗ってレッドの兜を蹴り飛ばす。そこから見えた顔は……尖った耳に青白い顔。そして伸びた犬歯だった。



「貴方……その容姿」


「オレの顔に何かついてるか?」


「別に、ただ。貴方の種族にとても興味があるわ。人間社会でどのように生きているかもね」



一触即発の雰囲気から一転、アルテイシアは友好的な態度を見せた。

上からの物言いは変わらぬが、レッドはよくわからないという顔をして兜を被り直した。


アルフレッドは一時的に精神集中を切り、サイトに戻ってハロウィンセットなるものを買い込んでいた。セールで安かったのと、アルテイシアの顔と似通ったパーツが多かったからだ。


アルフレッドからしたらカイトに続いてチョコットアイランドに来てくれた7人目のプレイヤーだ。カイト達とは会わせられないが、こちらはこちらで交流を持ちたかった。


何よりもレッドのキャラ造形とマッチしすぎていた。

アルの時はどこか貴族のアルフレッドを模倣したが、レッドは一から作った寡黙な騎士。

アルテイシアもどこか秘密を抱えてそうな雰囲気だ。


すぐにサイトで購入したものをマネキンに登録。

兜を脱いだ時用にとっておく。普段は犬耳のアル君だ。



「そういうお前こそ、見ない顔だ」



レッドは携帯用の濃厚トマトジュースを取り出して一息に飲む。

アルテイシアが目を見張っていた。



「貴方……それ」


「これか? これはオレが作った……」


「この精巧なグラス! 私が世話になってる食事処と同じものよね、ね?」


「?」


「違うの? 私達ノスフェラトゥにとって欠かせない栄養素が豊富に含まれてるのよ?」


「知らんな。これはオレが作った農園のトマトを絞ったジュースだ。少しだが満腹感を得られる。お前の言う食事処など知らん」


「自分で作ってるの? そうなの……闇に生きる者なのに畑を作ってるなんて意外だわ」


「人と極力関わり合いになりたくないからな。お前もやってみるか? 案外楽しいぞ」


「この手でできると思う?」



アルテイシアは大きく伸ばした爪を殺戮以外で使ったことがないらしく、眉を八の字に曲げて困り顔をした。

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ニート貴族のゲームライフ無双! 双葉鳴🐟 @mei-futaba

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