第4話
(セリーヌ視点)
全てが丸く収まった今、これからは、自分の幸せを考えよう。
だって、私、ループ二回目なのよ。
前回は、思い余った姉が、アンドリューとの婚約破棄を勝手に申し出てしまった。
そのせいで、我が家は不敬罪に問われた。何とか死罪は免れたものの、我が家門は潰された。
私は後悔した。なぜ、姉の気持ちに気付かなかったのか。あんな行動に出るほど、思い詰めていたというのに。
使用人が全て去った後も、フェリスだけは、ずっと私たちの傍にいてくれた。正確には、姉の傍にいてくれた。姉を好きなのは、誰の目にも明らかだった。フェリスは有能だったから、家庭教師などをしながら、私たちの生活を支えてくれていたのだ。
数年後、街の片隅で細々と暮らしていたある日、噂を耳にした。隣国の者が、首元にフルール・ド・リスの痣のある青年を長年探していると。
私は、苦労して隣国の者と接触した。ようやくフェリスについての全貌が明らかなった。フェリスを隣国の陛下と会わせることができれば、道が開ける。と思っていた矢先、敵国が侵略してきた。そしてこの国は滅びた。
戦争に巻き込まれて死んだはずだった私は、気付いたら十六歳の自分に戻っていた。
姉は、まだアンドリューと婚約したままだった。
「悩んでいることがあるなら、相談して欲しい!」
私は、全力で、姉に悩みを打ち明けさせた。
その後は、計画通りに上手くいった。
けれど、敵国の侵略まで、あと一年。
このまま王太子妃となれば、敵国の者に殺されるのは目に見えている。
でも大丈夫! 戦争が始まる前に家族そろって隣国に逃げるわ!
(完)
王太子は私との婚約を破棄し、妹を選んだ。王太子様、騙されてますから! 私は隣国で幸せになります! @haruiro9
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