出動

 Side 黒月 淳

  

 =イージス施設内部=


 桃園 カレン司令に過去の出自などについて釘を刺された黒月 淳。

 同時に如月 明菜や斎条 エリカなどについてあれこれと聞かれた。

 淳は顔を真っ赤にして否定したが、司令は「あらそう? 明奈ちゃんも淳君のこと悪いようには思ってないわよ?」と言っていてどうしたものかと頭を悩ませた。


 それはそうと如月 明奈が出撃したらしい。

 淳も司令に頼まれる形で出撃する。 



 =市街地=


 敵が多く、二手に別れる形になった。

 戦闘員を倒しつつ、司令塔である怪人を見つけて撃破と言う流れだ。

 話変わって淳の能力について。


 淳はこの世界に転移する際、プレイしていたゲームのパラメータを引き継いで転移した。

 最新のプレイデーターにおいて淳の装備と能力はどちらかと言うとタイマン向け。

 それもプレイヤー同士が戦うPVPとかに特化した感じの能力と装備、武器の構成である。


 さらに廃課金勢と呼ばれる部類のプレイヤーであり、この世界に来てそこそこ実戦などの場数を踏んでしまったらどうなるかと言うと――


「せ、戦闘員が相手にならん!?」

 

 戦闘員の指揮役であった怪人もただただ困惑する。

 戦闘員がまるで相手にならない。

 時代劇の斬られ役のような状態だった。

 もしくは三国志だか戦国時代高の武将が無双するゲームみたいな。

 そんな状態だった。


(ゲーム中のスキルとかも使えるんだな――)


 淳は淳で体の調子を試すように。

 ゲーム時代のスキルを実験しながら戦う。

 高速移動、テレポーション能力、自己再生などなど――チートとしか言いようがない自分の力を試し、そしてプレイ時に愛用していた悪魔の羽を模した鍔(つば)に紅の刀身の剣、サタンカリバーの切れ味を試しながら戦う。


(サタンカリバーの調子も上々! サタンシールドも念じれば取り出せたし、他のアイテムも使えるかな?)


 などと思いつつ戦う淳。 

 


 Side 如月 明奈


 =市街地・黒月 淳がいる近くの場所=


 如月 明奈は時に閃光を放ち、時に拳と脚で敵を蹴散らしていく。

 後ろから来た戦闘員を投げ飛ばして他の集団にぶつける。

 閃光を放ち、メタルジェノサイダーの二つ名に相応しく敵を吹き飛ばす。


 そんな彼女の快進撃を阻むかのように怪人が阻む。

 今回は5体。

 黒いアリ型の怪人で腕の武器がそれぞれ違う。

 ドリル、マシンガン、シールド、ムチ、チェーンソーだ。 

 明奈一人では不利な数だ。

 それに加えて残りの戦闘員もいて不利である。


「こいつら――戦闘員を盾にして――」


 戦闘員を盾にして攻撃を加えて来る。

  

「どうした明奈!?」


「最新型のサイボーグとはこの程度か!?」


「黙りなさい!」


 徐々にだが攻撃の被弾が増えていく明奈。

 ドリルでプロテクターを削られ、マシンガンで撃たれ、ムチでぶたれて、チェーンソーで斬られ、反撃の光線を盾で塞がれる。

 怪人5体にまだまだいる戦闘員相手の連携に追い詰められていく明奈。

 

「くっ――あっ――」


 それでも明奈は頑張って戦闘を続ける。

 が、 


「しまった!?」


 鞭で拘束される。

 サイボーグの体の力で強引に振り解こうとするが電撃を流される。


「あああああああああああっ!?」


 電撃を流されてのたうち回る明奈。

 その隙にサディスティックに甚振るアリ怪人達。

 明奈の体は傷つき、火花が走り、血が流れだす。

 

「舐めるなぁあああああああ!!」


 明奈は強引に、自分を中心にエネルギーを放出。

 鞭の拘束を引きちぎり、周囲で明奈を甚振っていたアリ怪人を、戦闘員達を吹き飛ばす。

 

「でやぁあああああ!!」


 そこから力を振り絞り、明奈の猛反撃。

 光線を両腕を突き出すようにして最大出力で放ち、盾を持つアリ怪人を倒す。

 次に鞭を失ったアリ怪人が飛び掛かってくるが、回し蹴りで迎撃。

 明奈は跳躍し、飛び蹴りをドリル型に放つ。


「そんな物!!」


 明奈は高速で自らの体を回転させてドリル諸共相手の体を粉砕する。

 次に来たチェーンソーを持つアリ怪人をマシンガンタイプの方に投げ飛ばす。

 二つの体が重なった所で勢いよくパンチ。

 二体諸共串刺しするように拳が貫いた。


「これで最後!!」


 最後に蹴り飛ばしたムチ型を手にエネルギーを纏わせ、手刀の要領で斬り裂いた。

 派手に爆発を起こすアリ怪人。 


「これで最後かしら――」


 そう思って一息つこうとしたその時。

 

「この時を待っていたわ」


「あなたは――」


 新たな赤い肌で二本角の鬼のような形相の巨体を誇る怪人と戦闘員を引き連れて現れたのはボンテージチックな黒いレオタードに白衣を身に纏う、グラマラスなボディ、紫髪のボブカットの女ドクターである。

 

「レオナ!!」


 Drレオナ。

 如月 明奈の因縁の敵である。


「あら、随分なご挨拶ね」


 と、レオナ博士は明奈に近寄る。


「へへへへ、この女もエリカの奴なみに甚振り甲斐がありそうだぜ」


 傍にいた赤い二本角の鬼のような怪人が下種な内心を隠そうともせずに明奈に近寄る。


「エリカと一緒にお前もタップリと可愛がってやるからな――」


 そう言われて明奈はキッとにらみつける。

 赤い二本角の鬼は「おーこわいこわい」とまるで小動物の威嚇を観るような態度だ。

 

 明奈はこの後どうなるかは容易く想像がつく。

 近くで戦闘しているヒーロー達は無事だと良いのだが――とも考えたところで(あっ――)となった。


 その瞬間を狙ったかのように現れたのは銀色の虫を模したオフロードバイク。

 跨がっているのは昆虫の赤い複眼を光らせ、二つの触覚に銀色のボディ、体の各部に刺々しい突起物、メカメカしいベルト、黒いマントを靡かせている。

 

 それが思いっきりレオナ博士と赤い二本角の巨体を誇る鬼を轢き飛ばした。


「タイミングを見計らったかのような登場だな。まあ私も人の事言えんか」


 継いで、斎条 エリカが現れる。

 胸の谷間やへそ周辺、鎖骨や肩のラインが丸出しな赤いハイレグレオタード。

 体の各所を白縁の赤いプロテクターを身に纏い、大きな大剣を握っていた。

 

「あなた……許可は出たの?」


 明奈はよろめいて立ちながらエリカに尋ねる。


「司令の許可は出ている。それにあの赤い奴に用があるんでな」


 との事だった。


『ごめんなさい明奈さん――遅れてしまって――』


「いや、いいのよ。本当は私一人で対処しなきゃいけないところだったのに――それに――その――」


『?』


「あ、ありがとう、来てくれて――」

 

『ッ!! どういたしまして!!』


 明奈がそう言うと仮面越しでも淳は嬉しそうだった。

 

『さてと、じゃあ行きますか――』


 悪魔の羽を模した鍔(つば)に紅の刀身の剣、サタンカリバーを構える淳。

 

 戦いの第2幕が始まる。

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気がついたら最強装備で変身ヒロインだらけの世界に転移してました。 MrR @mrr

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