桃園 カレン司令
Side 如月 明奈
=イージス施設内・司令の部屋=
桃園 カレン。
長いピンクの髪。
整った顔立ち。
落ち着いた雰囲気で包容力を感じる聖母の様な女性。
大きなバストもいやらしく感じない。
硬いイージスの制服を着こなしている。
現在はイージス司令の部屋で書類仕事をしながら仕事をしていた。
彼女がイージスの司令、桃園 カレン。
同時に最強のヒーローとも噂されている。
「それで噂の少年とは上手くやっている?」
「正直言うとあまり――年頃の男の人と接した事はありませんから」
「と言う事はまんざらでもないってわけですか?」
「でも、彼は――どう言うわけか私の、その、私達のHな過去も知っていて――」
「あらあら。どうしてかしら?」
「実は――」
そして明奈は自分でも半信半疑で出鱈目な黒月 淳の過去を話した。
「確かに出鱈目な過去だけど、明奈ちゃんは本当だと思ってるのね?」
「ええ、まあ……」
「でも土下座までして謝ってくれたんだし、許してもいいかしら?」
「いいんですかそれで?」
明奈は顔を真っ赤にして納得しなさそうに言った。
「でもその話が本当なら司令の過去だって――」
「そうね、いい気持ちはしないわね。だけどその話が本当だとして、わかりやすく言うなら、好きな物語に詳しくて、好きな物語の世界に何の因果か偶然来ただけなんでょ?」
「そうですけど――」
「これは私の独断で機密指定にします。口外しないように。その点を含めて一度、黒月君とお話しないと」
「はい――」
司令がそう言うのなら従うほかない。
明奈は黙り込んだ。
「で? 実際のところどうなの?」
「どうなのって――またその話ですか?」
「だって気になるじゃない」
「その、悪い人だとは思ってないです」
「ふんふん。いっそ、お付き合いしてみたら?」
「お、お付き合いって――」
お付き合いと言われて戸惑う明奈。
桃園司令はニコニコしている。
「まあそこまで行かなくても――私達のそう言う過去を知ったうえでなるべく普段通りに接してくれる男の人って貴重だと思うの」
「ま、まだ知り合ってからそんなに日も経ってませんし、それに親しいワケでは――」
「その様子だと満更でもないんじゃない?」
「そうですけど――」
「ならしばらくは専属の監視役ね」
「そ、それは――」
「明奈ちゃん頑張り過ぎてるし、何かご褒美あげないと~と思ってたのよね」
「ご、ご褒美ですか?」
「そう」
何故だか司令が嬉しそうに言う。
明奈は顔を赤くさせて困惑した。
「色恋の話はここまでにして――彼の戦力は見過ごせない。できれば目の届く範囲にいてくれた方がアレコレと助けやすいの」
「は、はい――」
「それに怪人による被害も活発化しているし、その抑止力としても彼の実力は必要だと思うの」
「確かに彼の実力はいまだ未知数――私から見ても圧倒的ですからね」
「正直此方に牙が向けられるんじゃないかと思ったりもしたけど、その様子はないわね。あの子は明奈ちゃんのこと好きみたいだから」
「もう、司令ってば――そればっかりですね……」
「あら怒っちゃった? ともかく明奈ちゃんは黒月君の監視を続行お願い。それと並行して斎条さんの事も頼んでいいかしら?」
「斎条さんは難しいと思います」
「あら? 黒月君が取られるかもしれないから?」
「そ、そう言うのじゃありません!?」
「でも分かんないわよ男の子って。あんまりツンツンな態度をとると、斎条さんとそう言う仲になるのも考えられるわよ」
「それは――」
ないとは言い切れなかった。
と言うかどうして自分はそんな事を気にしているのだ?
明奈は自分の思考がよく分からなくなってきていた。
「ともかく、監視も恋も頑張るのよ?」
「こ、恋もですか?」
「もちろんよ。応援してるわよ?」
「は、はあ……」
平静を装うが明奈は胸がドキドキしていた。
(私が黒月君と?)
などと考えながら「し、失礼します」と部屋は後にした。
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