ブサメンから美少女に整形したら、イケメン女子と付き合う事になりました

シャナルア

第1話

 日本政府は異次元の少子化対策を始めた。


 なんと高校生は、かならずカップルを作らなくてはならなくなったのだ。


***


「おいおい部佐島<ぶさじま>!」


「なんだよ」


「お前、まだ女居ないんだってな!」


「黙れ殺すぞ」


 俺は彼女いない歴が年齢の、行き遅れ男子だ。


 どいつもこいつも、カップル同士でいちゃつく教室で、俺だけがボッチだ。


「まったく、お前の顔は誰にも受け付けられれないからしゃーねーもんなぁ!」


「あ??」


「おっと、わりぃわりぃ! 今から彼女と連れしょんしてくるわ! じゃな!」


 連れしょんという名のイチャイチャお楽しみプレイをしに行く糞カス同級生。


「——は、みてろよ馬鹿が」


 確かにこのブサイクな顔で、彼女が出来てこなかった。


 しかし、おれにはある秘策があった。


 毎日毎日、俺はなんとバイトをしていた。


 そしてためていた金が、目標に到達したのだ。


(俺はこの金で——イケメンに整形する!)


 この顔を捨てて、テレビに出てもおかしくないほどのイケメンになるのだ。


「俺の春は、これからなんだよぉ!! ははっはっはっはは!!!」


***


「残念ですが、整形、失敗です」


「へ」


「イケメンではなく、美少女になってしまいました」


「」


 言葉が出ない。


「あなたはまぎれもない美少女です」


 鏡を見る。


「やっべ、死ぬほどかわいい」


「でしょ?」


「あああああああ!! 『でしょ?』、じゃないだろぉおおおおおお!!!

 何でこうなるんだよ!!!!」


「す、すみません!! ごめんなさい!! お酒飲みながら手術したのがよくなかったのかもしれません」


「これもう犯罪だろ。訴えてやる」


「ま、ま、これも何かの縁! 美少女として暮らしていきなよ! ね?」


 どかばきぐしゃ!


***


 俺の人生は変わった。


「結婚してくれ」


「お前が欲しい」


「一目ぼれです!」


「あなたと付き合うために、妻と離婚しました」


「1億やるから結婚してくれ!」


 おいおい、俺は男だぞ。


 なんだこれは?


「男ってバカなのか!? 俺は男だぞ??」


「そこがいい」


「死ね!!」


 あらゆるアプローチを受ける。


 そのすべては男。


 発狂しそうだ。


「あんなところで整形したばっかりに……」


 俺は可愛くなった顔で、何度か女子にアプローチした。


 しかし——


「いやぁ、可愛すぎて無理かなぁ」


「そーそー、対象外ってかんじ」


「レズビアン探せば?」


 あ、あんまり印象が良くない……


「な、なぜだぁあああああああ!!」


***


 高校3年冬。


 俺は政府から通達が来た。


【もし残り一週間で彼女が出来なければ——留年しなければならない】


「あああああああああああ!!! 嘘だぁあああああ!!!」


 俺は発狂した。


「ちゃんとセンター頑張っていい点数取ったのに!!! 摸試も合格圏内なのに!!! こんなことで俺の進路が無駄になるのか???」


 俺はいろんなつてを探して、恋人になってくれそうな女子を探した。


 それでも撃沈し続けた。


「くそ、くそ、この顔が憎い! 可愛い美少女とか、もう吐き気がする!! 前のブサ面の方がはるかにましだった!!」


 俺はバタバタと部屋で暴れる。


「うぅ……もう……」


 人生終わりだ。


 来世ガチャに期待を託そう。


 そんな時だった。


 ピンポーン


「なんだ、宅配か?」


 ガチャ


「君が、まだ彼女が居ない高校3年生の男子生徒だね」


「は、はい」


「私は——まだ彼氏が居ない高校3年生の女子生徒さ——」


「な——!!」


 相手の顔を見る。


 イケメンだった。


「この見た目で、女子にしかモテなかったのさ」


「そう、なのか」


「君は、花のように可憐だね」


「——可憐とか、止めろ!」


 く、いつもなら言い返さずに、流すのに……。


 直視できない……!


 なんなんだこの気持ちは——!


「悪かった、君は男子なのをつい忘れてしまった。

 どうかわたしの、王子様になってくれないかい——」


「っ——俺は——」


 俺はもともとブサ男。


 こんな、こんなイケメン女子と釣り合うわけない!


 でも、でもぉ……


 だめだ、こいつをみてしまうと


 なんだか


 なんだかぁ……


「お、お願いします……」


 心が、キュンキュンしちゃうぅうううううううう!!!


「ありがとう——よし、これからさっそくデートに行こう。

 お互いのことをよく知ろうじゃないか」


「はぃいいいいい! 行きましゅぅうう!!」


「よろしくね」(ウインク)


 あああああああああああああああああああ!!!!!


 イケメンんんんんんんんんんんんんんんん!!!!!


 そして俺は、心の中を乙女にして、デートに向かったのだった。


***


 10年後。


「ねーねーなんで、ママは男なの?」


「それはね、性別だけが性別を決めないからよ。

 あなたも、美少女に整形してみたらわかるかもよ?」


「えー、やだよ。男でいいもん!」


「うふふ」


 ハッピーエンド。

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ブサメンから美少女に整形したら、イケメン女子と付き合う事になりました シャナルア @syanarua

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