初秋
秋の初め頃のこと。
つい先日まで猛暑日が続いていた気もするのだが。
「朝晩過ごしやすくなったね。」
「そうだな。」
「朝なんか寒さで目が覚める事あるし。」
「そうだな。」
「手探りで布団探しちゃったり。」
「分かる。」
「何か不愛想だけどどうしたの?」
「何でユメが俺の布団に入って来て俺の布団かっさらってヌクヌクしてるんだ?」
尊が明け方の肌寒さに目覚めると、布団はいつの間にか潜り込んで来ていた夢乃に奪われていて、夢乃が心地良さげにゴロゴロと喉を鳴らしそうな顔をしていた。
「タケが寝てた布団って温かいじゃん。」
「ユメの布団だって温かいと思うぞ。」
「1回起きて布団から出たらすぐ冷たくなるじゃん。」
「あぁ分かるわそれ。」
「だからタケの布団の方が温かい。」
「布団から出なけりゃいいだけじゃん。」
「生理現象は我慢しない主義なんだよね。」
「我慢は良く無いからな。」
薄暗がりの窓の外で風が窓や壁を撫でているのが分かる。
つい先日まで猛暑だ何だと言っていたのに一気に秋めいてきた。
「そんな事より布団を返してもらえまいか?」
「返したら寒くなるじゃん。」
返す気など微塵も無い夢乃である。
(てかいつの間に入って来たんだ!?)
タケとユメの日常 月之影心 @tsuki_kage_32
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。タケとユメの日常の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます