第4話 結末
●結末
▶成功!
大きな水しぶきをあげながら釣り上げられた魚。ビチビチと元気に身を躍らせる。昇ってきた朝日に照らされたそのうろこは、きれいな桜色。それは間違いなく噂に聞く〈真珠魚〉その魚だった。
鮮度が命の生魚。急いで料理長のもとへ届ける。すれ違う人々は大きな魚を運ぶあなた達に驚きの目を向けてくる。
彼らを置き去りにたどり着いたギルド支部の厨房。待っていましたと料理長があなた達を迎えてくれた。
「そう、この存在感、鱗の輝き…。間違いない〈真珠魚〉です! 新鮮なうちに早速調理しなくては」
興奮した様子で叫び、調理に取りかかる。その声を聞いて、朝早くから支部にいた面々がなんだなんだと顔を出す。
その中にいた受付嬢があなた達を見つけ、声をかけてきた。
「どうやらうまくいったようですね。お疲れさまでした! どうぞこちらへ。報酬をお渡しします」
そう言って案内された受付。報酬を手渡しながら
「それにしてもあんな大きな〈真珠魚〉を手に入れるなんて…。まるで伝説の漁師・ドルトさんみたい…」
そう呟く。話を聞けば、ドルトとは百年ほど前に存在したドワーフ族の漁師だという。ハーヴェス王国近くの港で巨大な3mを超す〈真珠魚〉を釣り上げたことで一躍有名になったのだとか。その後、幾度も〈真珠魚〉を釣り上げたことから、伝説の漁師として語られているという。
そうして依頼完了の手続きをしていると、いいにおいが厨房から流れてくる。魚のにおいとアルコール、そこにいくつかの香辛料の香りが合わさり、においだけでもおいしいことがわかる。何よりおなかが空いてくる。酒場に駆けて行く冒険者が多くいることが、その香りの罪を物語っていた。
やがて調理の音がやむ。どうやら下ごしらえが終わったようだ。料理長が改めて、あなた達にお礼を言いに来る。
「今回はありがとうございました。今回のメニューは友人夫婦のものなので、召し上がっていただくわけにはいかないのですが、よろしければこちらを」
そう言って差し出された器に入っていたのは琥珀色をしたスープ。中には具として二枚貝や細かく刻まれた野菜、海藻が入っている。
「料理の際に余った〈真珠魚〉の身からとったスープです。そこにあり合わせですが野菜と海藻、貝を入れて調味料で味を調えました。煮込むともっとおいしくなるのですが、それはまたの機会に」
「将来有望な冒険者さんとのコネクションは、作っておくべきですもんね、料理長さん? それより、彼らを担当した私の分は無いんですか?」
「はて、なんのことでしょう?」
にやにやと笑い合う料理長と受付嬢の会話を聞きながら、あなた達が口にしたスープ。まず感じるのは塩味、しかしその塩味は、すぐあとに来る野菜の甘味を引き立てる。器と口内。双方から鼻を抜けていく、貝と海藻の生みの香りが心地よい。そして何より、〈真珠魚〉の持つ独特の優しい甘みと魚介の香りがそれら二つをうまくつなぎ、香辛料が次のひと口を誘うアクセントを入れて胃の中に去って行く。苦労して手に入れた〈真珠魚〉。依頼達成後にあなた達が手に入れたのは、報酬と経験、そして疲れに優しい、至福の一杯だった。
※追加報酬は数に関係なく、納品した〈真珠魚〉の最大値2.0mを超えた分0.1mにつき、一人+100G(最高+1500G)。また、〈真珠魚〉を数匹釣り上げていた場合、大きさに関係なく1匹5000Gで売却できる。
➡報酬と経験点(1000+(判定での1ゾロ数)×50+(倒した魔物のレベル合計)×10点)を得る。
▶失敗…orエサが無かった
強い引きに負け、竿を手放してしまったあなた達。これまでの魚と一線を画したあの引き。間違いなく高級巨大魚〈真珠魚〉だっただろう。
その後糸を垂らしてみるが、これといった釣果はない。結局、期限ぎりぎりまで粘ってみたものの〈真珠魚〉を釣り上げることはできなかった。
ギルドで報告と換金を済ませたあなた達。料理長は、予め考えていた別のメニューを提供することにしたそうだ。
「気を落とさないでくださいね。失敗は誰にでもあることですから。今回は人命もかかっていませんでしたし」
受付嬢が言っていた言葉。「命あっての物種」。今回の失敗も糧にしながら、あなた達は次の依頼へと挑むことになるのだった。
➡経験点(500+(判定での1ゾロ数)×50+(倒した魔物のレベル合計)×10点)を得る。
祝いの席に普通の料理はありえない! misaka @misakaqda
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