この物語で生み出されるのは、英雄になれる輝きを持つ若者と、その彼が手にする名剣。けれどその彼は、夢を追うただの若者でしかなくその剣は、ある老人の悔恨を纏ったモノでしかなかった―――それがどうして雄々しき英雄と名剣となるのかしみじみと胸に迫る等身大の人間を描いたこの作品を、お勧めします。
短編ですが、とても読みごたえのある物語です。 英雄を夢見る若者が自分の剣を探し求めて武器屋の老人に出会います。 武器屋にあったのは、白銀の剣。 若者はその剣が欲しいと老人に言いますが、断られます。 そして、もう一度頼み込み。 この剣には老人のある想いが詰まっていたのでした。 結末、しびれました。 老人の想いが若者に伝わり、若者は大きくなれたのですね。 悲しくて、熱くて、最高の物語です。 おすすめです。 是非お読みください!!
結論からいうと、短編とは思えない満足度。物語がきっちりと完結している。王国の隅で武器屋を営む老人。その店に飾ってある『悔恨の剣』に一目惚れした若者は、何度も売ってくれとせがむが、頑なにそれを拒否する。遂には売ってしまうのだが、拒否したのにも売ったのにも共感できる訳があった。ついでにいうと、武器屋の場所にすら老人の思惑がある。短編なので、これ以上書くとほぼほぼ内容が分かってしまうのでここら辺で辞めておく。5分、時間を確保出来るなら一読する事を強く推奨します。
短編小説という事で登場人物は少なめですが、むしろその方が良い。物語はとある武器屋から始まり、大遠征へ赴く若者と、武器屋の老人との会話がひたすら続きます。普通であれば、単調に見える会話も作者の巧みな描写によって軽快に進みます。そして物語後半、とある出来事で剣に込められた想いが明かされることになり、老人から若者に託された願いが心に響きます。短編小説ならではのサクッと読める分量と描写力であっという間に読み終えている事でしょう。是非、ご一読ください。