第2話 角の雌犬の本名
今日の散歩は思いがけないことがあった。
久しぶり角の雌犬に会ったのである。
妊娠したらしく出産してから子育てまで家の中に暮らしてたそうだ。勿論ノラ男の子だ。
飼い主も妊娠していることが分かると随分と気を遣ってくれたらしい。
その甲斐あって元気な子犬を五匹産んだ。
子犬全部を育てるわけにはいかないから貰ってくれる人を探していた。
馴れないパソコンを使って、子犬貰って下さいというポスターを作って電信柱に貼り付けていた。
その甲斐あって一匹を残して嫁ぎ先が決まったようだ。
母犬になると、もう昔のようなトゲトゲしなくなって、俺を見ると尻尾を振って近づいてきた。
あまりにも変貌ぶりに戸惑ってしまったけどノラ男が亡くなったことも知ってた。
と言うのも、子犬の貰い手にノラ男が助けた子供の親がいたからだ。それで亡くなったことを知ったようだ。
今まで角の雌犬と呼んでいたけど雌犬には名前があってショコと呼ばれていた。
表札を見ると中川とあったからか!
あっ、そうそう俺、漢字も読めるんや。
書くことはできんけどな!手が無いもん。
それ以降、ショコとも気さくに話すようになったよ!
ノラ男のことも話してくれたけど、俺らのようなボンボン犬と違ってワイルドなところに惹かれたと言ってた。
しかしそれは見せかけの強がりで弱さの裏返しだったとも。
ワンコの一生 ノラ男編 河原ジョー @tg_naka_66
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