第17話 正義執行
「ひいいいい!」
部屋にいた文官たちが逃げ惑う。
しかしガブリエルの手によって既にこの部屋は結界が張られている、外に出ることはできない。
「おら、大人しくしろや」
「あんまり逃げると燃やすぞ」
逃げ場を失った者たちは、ラファエルとウリエルの手によって捕まる。
そしてミカエルの魔法『
「さて、お前はどうするか」
俺は首をつかんでいる貴族に目を向ける。
頭に血が溜まっているみたいで、顔が真っ赤だ。トマトみたいだな。
「お前みたいな悪党は死んでも問題はないか」
「お、おたすけ……」
力の限り地面に叩きつける。
すると本当にトマトみたいに弾け、床のシミとなる。
一連の流れを見ていた国王は「う゛」と口元を押さえる。
「……こんなことをしてただで済むとおいでかダイル殿」
「もちろんだ国王。私にはその力がある」
確かにシアや天使たちには苦労をかけることにはなるだろう。
しかし出来ないことじゃない。魔法の力と天使の力を合わせれば、この国の民に気づかれることなく、国を掌握することができる。
「私は世界をより良いものにするためならば、労力は惜しまない。残念だよガルマニウス王、貴方とはうまくやれると思ったのだが……」
逃げることなく玉座に座る彼に近づく。
諦めか恐怖か。眼の前まで行っても彼は逃げなかった。
「……ひとつ約束してほしい。民には手を出さないでほしい」
「もとからそのつもりだったさ」
俺の手から光が迸り、『
こうしてこの国の最高権力者は、俺たちの手駒へとなったのだった。
◇ ◇ ◇
それからはまあ色々と大変だった。
なんせ国を一つまるごと、それも急に乗っ取るんだから大変で当たり前だ。
表向きには俺たちと王国は、同盟を結んだことになっている。
だけど王国の政治に絡んでいる者は既に全員洗脳済み、こちらでどうとでもうごかせるようになった。
まずは奴隷をどのように調達し、どう斡旋し、どんな酷いことをしているのかを調べさせている。それが分かりしだい、一気にその業者を殲滅する予定だ。
ちなみにこれは後で分かったことなのだが、俺に奴隷を寄越そうとした貴族は、以前神父のマーカスが育てた子どもを奴隷にした張本人だった。
図らずもあいつの無念を晴らした結果になった。
「……本当にこれでよかったんだよな」
王城の庭に停泊している天空城の中で、一人呟く。
やったことに後悔はないが、もっといい道もあったんじゃないかと思ったりもする。
だが悩んでいる暇はない。
幼い日に達成できなかった正義を今度は実行しなければならない。
そのためにはまず力だ。もっともっと強くなって、どんな悪にも屈しないようにしないといけない。そして、
「白銀城に再び輝きを取り戻す。そのためならば、俺は喜んでこの手を汚そう」
覚悟ならとうに、決まっている。
白銀城はニ度輝く ~巨大浮遊城アジトごと転移した廃人プレイヤーは、異世界でも正義職ビルドを貫くようです~ 熊乃げん骨 @chanken
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