star -降り注ぐ流星群-

超絶あさんか

第1章 第1話  天界


――ん。


ふと目が覚めた。暖かい、此処は何処だっけ。

周りを見渡す。白い床と、延々と続く風景。

そうか、思い出した。此処は私の唯一の居場所。


天界だ。


床だと思った物は雲だった。私からしたら床も同然なのだが。しかし、今の状態の私には柔らかすぎて歩けそうにないので、家に帰るのはやめておいた。

あれ、家。

私には帰る家などあっただろうか。私を抱きしめてくれる温かい手など存在しただろうか。何も、思い出せなかった。が、その様な物はじめから存在しないと、既に確信していた。

さて、私はこれからどうしようか。今までの私はどうしていたのだろうか。下を向いて考えていると、雲の隙間から地上が見えた。小さくてよく見えなかったが、色々な物がある事だけは理解できた。そして、それと同時にが交差した。

此処天界には何もない。

地上新世界には色々な物がある。

それを理解してしまった瞬間、今自分が此処生まれ故郷に居る理由が一瞬にして消えた。

地上の方が良い。

地上の方が良い。

絶対に。

脳内はその言葉だけで埋め尽くされた。

もう戻れない。

もう戻らない。

私は一切の躊躇なく、雲の隙間から飛び降りた。

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