"天歩艱難"その意味を知る時。

どうしてこんなにも、苦難ばかりの人生なのだろう。


この物語を最後まで読んだひとならば、皆、少なからずそう思うだろう。

この主人公の異常なまでの、報われなさ。すべてが、彼女に対してそうなのではないのに、ひとつひとつが積み重なって、すべてを台無しにしてしまうような、そんな数奇な運命の下、生きなくてはならない辛さ。

それでも彼女は、〇〇のために、〇〇の方が自分などよりも辛いのだ、と強い気持ちで生きて行く。頑張って頑張って、どんどん深い穴に堕ちていく。

そして、彼女の糸がふつりと切れた時、そのすべてが閉ざされる――――。

ひとりの女性の、長くも短い一生を描いた物語。
彼女の選択は、胸にずしりと重たくのしかかる。それを希望ととらえるか、それともただの絶望と締め括るのか。


あなたが最後の1ページを捲る時、この物語に対してなにを想うか。

三者三様の受け取り方ができる、そんな人間ドラマがここにあります。

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