第5話 決戦
その後、自宅に帰ると妹がうなされていた。風邪の様な症状だが何かが違う。それは呪いに近い。美々は妹の腕をへし折るとか言っていたが現実になっていた。
『魔女め、魔女め、魔女め……』
わたしが美々に対して憎しみの言葉を連呼すると。妹の杏が目を覚ます。
「兄さん、わたし死ぬの?」
「大丈夫だ、そんなことはさせない」
絶望の必要な『世界の雫』など要らない。わたしは学園に戻り、デスの眠っているクリスタルを壊すことにした。校舎別館に行くと美々が待っている。
「今、園月ゼミの面子は全て倒した所だ。君が最後だ」
「よかろう、賭けるモノはデスのクリスタルでいいな」
こんな形で最終決戦が行われるとは。わたしは妹の杏を守ることを誓った。そして、道場に行くと美々は真剣を取り出す。
ここでの戦いが木刀でのものであったはずが、そんなルールは無視での戦いとなった。わたしも、来る日の為に用意しておいた小太刀を使う事にした。
重い……。
これが真剣の重さか。わたしの小太刀二刀流に対して美々は普通の刀である。両者が剣を抜くとバトルがスタートする。
カッキン!
鈍い金属音が道場に響く。美々の刀は剣術などと言った綺麗なモノではなく。振り回すに近い。それでいて、攻撃に防御は賢く計算された様に強い。わたしは今までの実戦を参考にして戦う事にした。ここで培ってきた剣術を思い出していた。この美々の剣は斬撃の後に一瞬のスキができる。
しかし、気づいていた。
斬撃の後にスキの現れる時間が余りにも長い。そう、罠である。魔女の美々にピッタリな戦術だ。わたしはこの戦術に二刀流を使う事にした。左の小太刀がわざと罠にハマり、切り返したところを右の小太刀で決めるのだ。美々が大きく斬撃で攻撃してくる。
「そこだ!」
わたしは大きくできたスキを左の小太刀で攻撃する。
「あれあれ?今頃、かかった」
美々はスキを大きく切り返して左の小太刀が吹っ飛ぶ。
「甘い!」
わたしは右の小太刀で美々の刀をぶっ叩く。美々の刀は叩き落ち、小太刀は美々に突き付けて止まる。
「約束通り、デスのクリスタルは壊させてもらう」
「けっ、妹が居ないと何もできないシスコンが」
「なんとでも言え」
わたしは道場からロビーを抜けるとデスのクリスタルの間に行く。誰かの絶望で目覚めるデスなど要らない。わたしはデスのクリスタルを小太刀で切り付ける。しかし、デスのクリスタルに傷一つ付けることが出来ない。
これが神の力か……。
ならば、この部屋を封印する。わたしは特殊な鍵をかけて封印した。
それから……数十年後。
この別館に集まる生徒達がいた。
「今日こそ、この鍵を開けて『世界の雫』を手に入れる」
そう、神であるデスと願いの叶う『世界の雫』が伝説になっていたのだ。
佐津間博昭は神を倒し願いを叶える事ができるのか? 霜花 桔梗 @myosotis2
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