第11話「機械都市」

「この世界はさっきの世界より少し広いみたいだね」

「そうだね。出口がなかなか見えてこない」

「なんか…雰囲気変わって来たね」

「そうだね…」


 周りは、コンクリートに変わっていた。


「イラッシャイマセ…」

「ん?」

「ワガクニヘヨウコソ…」

「なんか…スピーカーで言ってるね」


「ここは…」

「すごい…ビルがたくさん!」


 そして、真ん中には大きな塔が立っていた。


「なんだこれ…」

「見たことないね…」


 真ん中の塔に向けて、光の導線が引かれており、それが街の動力源となっているようだ。


「コンニチハ…ゴアンナイシマス」

「なんですか?ここは?」

「ココハ、デンノウトシプラニティーセブン。ハカセ、ボクラニイノチアタエタ」

「なるほど…その博士という人が作ったロボットなんだね」

「へー…私こういうの見るの初めてかも…」

「そりゃそうだよ。こんな場所なかなか来ることなんてないからね」

「すげー!」


 すると、その案内役ロボットはレーザーに撃たれ、壊れる。


「なんだ?」

「ちょっと…あなたたち!こっち!」


 他のロボットも、呼応するように反応して追い掛けてくるが、ギリギリで地下の扉を閉めて逃げ切った。


 カザネは言う。


「お姉さんは、どなた?」

「あ!説明してなかったね。名前はシニーよ!この街の機械化に反対する組織に属していたが、組織はだいぶ前に壊滅した。そして、この街を機械化するために多くの人が犠牲になった。真ん中に大きな塔があったでしょ?あれが、コアよ…。あなた達はそこに誘導されていたの。あそこに行ったら最後戻ってくることは愚か、ロボットの脳内をより人間に近づけるための材料として、脳を抽出されてロボットの人間化を進めてしまうことになる。それは、とても困ることなの。そして、人間化が進むと頭が良くなって、プログラム通りではなくても動けるようになってしまう。むしろ、人間より頭が良くなる」



「なるほど…」

「だからあなた達は逃げて!」

「え?」

「この場所は、私が守らないといけないの…」

「でも…あなた一人で守り続けてその先に何があるの?」

「そ…それは…」

「私も手伝います!」

「な…なにを!?」


 カザネは、ガンケースからハンドガンを取り出す。


「私が、コアを壊します」

「そっ…そんな無茶よ!コアを壊すには中に進入して、群がる護衛ロボットや罠を突き抜けて行かないといけないのよ!」

「私には、策があります」

「なに?」

「あなたも、ついてきてくれますか?」

「わ…わかった…ついてくるわ!」

「来ないほうがいいですよ。私の周りにいると死にます」

「何を言って…一人でなんて!」

「お姉さん…私を信じてください…」

「じゃあ約束しよう…必ずここに生きて戻ってくると…」

「分かりました!必ず戻ってきます!」


 そう言うと、カザネたちは地下を出た。

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トアル世界のシュウエンで〜eternal end world〜 @nemow93

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