プール再び
雪の降りも小康状態になってきており、ようやく終わりが見えてきた頃である、藤堂さんにプールに誘われたのは。
≪長野ワクワク×ドキドキパラダイス≫
前に穂乃香と一緒に遊びに行ったことのあるレジャー施設。入浴施設やサウナも併設されていてプールも温水完備のかなりハイスペックな施設。飯も旨かった。
雪の処理に、精力的に取り組んでくれた連盟員へのご褒美らしい。
経緯的が複雑である俺は、ちょい遠慮しようかな~と思ったが――穂乃香様が即、飛びついた。
「行きます!」
判断が早い。
行くことになりました。
「えへへ~楽しみです。雪かき頑張った甲斐がありました!」
「……そうだね!」
穂乃香は強かだなぁ。
当日
そこそこの人数が集まっていた。
家族同伴で穏やかな顔をしているもの。獣のような形相の野蛮な男たち。純粋に施設を堪能しようと、わくわくした表情の者たち。穢れきった情欲に支配されたゴミ共。一部以外はまともだ、一部以外は。
仕方、ないよね……。見目麗しい美女達の水着姿に期待してしまうのはもう、男の性だから。俺にも覚えがある。彼らを責める気にはなれん。いくら何でも情欲を隠さなすぎではあるけども。
まぁ、彼らも大人だ。ある程度の節度は守ってくれるだろう。俺は楽しく穂乃香、ふわもこ達と遊ばせてもらおう。
「漣さん! 人が全然いません! 遊び放題ですね!」
俺の左側に寄り添っている彼女がまぶしい笑顔で話しかけてくる。期待いっぱいといった様相だ。守りたいこの笑顔を。
「そだな~。前はかなりの人がいたから、これくらいの人数しかいないと違和感すらあるな。でも、こんな機会は滅多にないから目一杯楽しませてもらおうか」
「はい!」
「……子供いない? ぼく、ひっぱられない?」
「ヴぉふヴぉふ」
過去のトラウマから、おびえ気味になっているアオを励ましながらプールに向かう。
凄まじい視線を背中に感じながら。
「「「「「「…………」」」」」」(ニチャ~)
「あなた達♥ あんまりオイタはしちゃだ、め、よ♥」
「「「「「「はい……」」」」」
悪は去った。
「よぉ漣~」
「遅かったなぁ~俺たちが一番乗りだったみたいだぜぃ~ひゃっほうっ!!」
「うぉらぁ! バク宙飛び込み!!」
なんだか学生みたいな楽しみ方をしている三馬鹿。非常に健全だ。
「ひゃっほう~♪」
他の連中もウォータースライダー、波の出るプールなどでキャッキャ言いながら楽しんでおられる。藤堂さんも歓声を上げながらウォータースライダー滑っとる。
アレは、ジェットコースター染みているので俺は苦手だ。ぐるぐる回るし、異次元のスピードがでる。穂乃香と一緒じゃなきゃ絶対乗らない……。
皆、童心に帰っているようで何より。そのまま汚い大人に戻らず子供のまま健やかに過ごして欲しい。
筋肉もりもりの男たちが少年のような笑みを浮かべながらプールではしゃいでいる姿は、なんともアンバランスな感じではあるが。
「プールのお水あったかい~」
「ヴぉっふ~」
「へへ~ポンタとアオはかわいいなぁ~。一緒に遊ぼうぜぃ~」
それらを他所にみっちゃんは、ポンタとアオをナンパしてた。ぶれない男である。
そんな平和な時間も彼女たちの声が聞こえてくるのと同時に終わりを告げる。
「あら、みなさんお早いですね。さっそく楽しんでおられるようで何よりです」
エントリナンバー1! 北野奏!
ホルターネックタイプの赤いビキニの水着。
奏さんの豊満で形の良いバストが協調されとんでもないことになっています。
魔術畑の彼女は実に女性らしい、しなやかさ、柔らかさが際立つ体をしていらっしゃる。色気が迸っている。
ウェーブした長く色っぽい黒髪が、扇情的な赤い水着に映える。
こちらに向け、艶やかにほほ笑む奏さん。
「「「「 Yeahhh!!」」」」
「ごばぁっ!!」
歓声と共に、藤堂さんが奏さんの魅力にやられてしまった。飛び込み台から変な落下をしていた。南無。
「むう……少し気恥ずかしい……」
エントリナンバー2! 志藤~凛!
競泳水着。
しか~し! 野暮ったいなどと侮るなかれ! 彼女のもつ、奏さん以上に魅惑的なバディ。彼女のアイデンティティーのお胸!! とんでもないことになっております! バインバインですっ! アレはとんでもない代物だ……。多くの男性に特攻が入ってしまうこと間違いなし、垂線ものでしょう。
競泳水着によって、鍛えられている彼女の美しい体のラインが一目瞭然。実に健康的な美といえる。素晴らしい。
長い手足、穢れを知らぬ透き通るような白い肌。彼女は長い濡れ羽色の美しい髪を一本に括っている。それがまた、凛とした彼女のイメージを引き立てている。
さらに、彼女の姿勢の良さが、その……お胸を強調する感じになっていた。
それでいて、少し気恥ずかしそうにもじもじする志藤さん。
これには男子としてそそられるものがあります。
「「「「 Yeahhh!!」」」」
「「「ごばぁっ!!」」」
何人かが鼻から血を流している。プールに垂らさないのは流石である。プロの技だ。見事!
エントリナンバー3! 文月穂乃香!! 俺の大本命はまだか!? はよ! 彼女の魅力を余すことなく伝えなくてはいけないのだっ! はよっ!
「漣さん?」
「!!」
感情を感じさせない穂乃香の声。
俺の左側から凄まじいプレッシャーを感じる……。動けない。瞬き一つできない。ただ、脂汗だけが湧き出てくる。
気配を全く感じなかった。いつからソコにイタンデショウ?
ゆっくりと左腕が彼女にからめとられる。左目は塞がったままなので、彼女がどんな表情をしているのかわからない。コワイ。
「あんまり他の女の人のこと、ジロジロ見たら――ダメですよ?」
「ごめんなちゃい」
背筋がぞっとした。静かな声だけど、有無を言わさぬ迫力があった。兄ちゃんにガチでキレられた時もここまでの恐怖は感じなかった……。
「…………」
沈黙を貫く彼女の方へ顔を向ければ――女神。
「あぁ、でもやっぱり、穂乃香が一番綺麗だ」
前回と同じ水着と髪型。何度見ても見惚れてしまう美しさだ。
お姫様みたいな雰囲気なのに、少しだけ拗ねたような表情を見せる彼女。愛おしくて堪らない。とても抱きしめたい。
「前と一緒だから……がっかりしてない?」
そんないじらしいことを言ってくれる彼女。
「俺が褒めたからその水着を着てくれたんでしょ?」
「……うん」
「最高。また見れて嬉しい。何度だって見惚れちゃうよ」
「――なら、よかった」
微笑む彼女。ドストライク。
かわいい、綺麗、可憐、かわいい!! うっひょ~!
「「「「「「ぐぎぎぎぎぎぃ!!」」」」」」
背後から怨念を感じる……。いつ襲いかかられてもオカシクナイナ。
少々警戒していると――
「あ~ら♥ 妬けちゃうわねぇ~♥ 漣ちゃんとほのちゃんったらお熱いんだから~」
「「「「「「ごばぁっはぁ!!」」」」」」
後ろで太い、声が、聞こえた。彼女がきてしまった。動悸がする。
同胞の叫びが聞こえた。嫌な汗がでる。恐怖のあまり歯がカチカチ鳴ってしまう。
力強い足音がこちらに近づいて……息が、うまく――
「はぁい♥ 漣ちゃん♥ アタシの水着はどうかしらん?」
「がっっはっ――――!!」
フロイライン・刃。彼女の水着は…………すごかった。
強すぎる魔力性質「陰」をもつ俺はハブられ心折れた。 もふもふ大好き すぐお腹痛くなるマン @jake26s
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