第13話 【番外編】何故か、敵対勢力の令嬢に、全力で助けられた件について。(フィルミーナ嬢視点)

 

 その後、惨めにも衛兵に捕らえられた私は、粛々と連行されようとしていた。


 その時、どこからかそれを阻む声がかかった。

声が掛けられた方向を伺い見ると、阻んだのは敵対している勢力の、アメリー・ニモ・ワルデス公爵令嬢であった。


 彼女はカイル殿下の婚約者候補者で、筆頭候補者の1人であった。


 彼女との交流は一切なかった。

なので、何故彼女が阻んだのか、分からなかった。


 しかし、彼女がこの機会に、更に私を貶めようとしていると、すぐに明らかになった。



 もうどうでも良かった。好きにしてくれて良い。皇妃になりたいのであれば、なって欲しい。私はもう疲れてしまった。貰ってくれるので有れば、喜んで差し上げてしまいたい。



 そんな事を考えて、黙って聞いていた。



 すると、彼女は質問をし始めた。

彼女の初めの質問で、あの時の水の容器が【バケツ】なのだと認識した。


 その後なぜか、皆様から腕を見られ、ヒソヒソと疑わしそうな目線を受けた。


 彼女の意図がわからない。


 確かに私も、あの容器の名前はわからなかったし、あの時の水の量は凄かった。



 そして、アメリー様は質問を続けた。

制服を刻んでいたのは彼女だが、当時は何の目的かわからなかった。2着あるうちの1着を事前に切り刻んで、すり替えたのだろう。


 しかし、カイル殿下と制服を脱いで一緒にいるとは…。わかってはいたものの、精神的ダメージが凄い。



 更に次の質問で、彼女が乙女であることは、誰から見ても、非常に疑わしい所となった。


 しかし、当の男爵令嬢は、まだ気が付いていない様子であった。



 ここまで来たところで、信じられないことに、会場の流れが完全に変わった。



 アメリー様は、たった3つの質問で、

「私(フィルミーナ)は無罪だと」観衆の思考を誘導したのだ。


 その後、私は解放され、殿下には謝罪をされた。


 色んなことが起こり過ぎて、疲れてしまった。



 私のことを助けてくれたアメリー様には、いくら感謝しても、し足りない。




 その時に私は、もし今後、私が彼女のためになれるのであれば、なんだってしてみせよう。と、勝手に決意したのだった。

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敵対勢力の私は、悪役令嬢を全力で応援している。 マイネ @maine25

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