ADDITION 3

横谷昌資

まとめ弐 または“生きすぎ”

文句を言うと文句が来る

“それはやり過ぎだ”と

じゃあ俺はどうしたらいいの

このまま殴られていればいいの


何が問題なのか、

何を問題視されているのか

それを真剣に考えることができないから

ネタなら何でも許される、と思ってる


“その文章を使ってないからそんなことは言っていない”

かと思えば言ってないことを勝手に解釈したり


勉強したからこそ駄目になる

論点ずらしや論点散らし


“困っている”と言うと

“具体的に教えろ”となって

“このように解決した”と言うと

“なんとかなったのなら困ってないということだな”となって

結局“解決”されない


世の中どんどん息苦しくなっている

一人一人がかけがえのない存在だから

“あいつ”をお座なりにすることができなくなってしまった

一人一人がかけがえのない存在だから


この世界は“差別がある”のがデフォルト

だから差別に気がつかないし、

あるいは指摘されたら、怒る

差別を“残酷な人間のするもの”だと思ってるから


認めなよ 自分が同性愛者を憎悪してること

女をただの肉の塊だと思ってること

障害者を“生まれてこなければよかった”と思ってること

“みんな違ってみんないい”なんて欺かずに

認めなよ


自分の中の“それ”に対する差別心を目の当たりにして

それでも考えることをやめなければ

そしたら次のステップに進めるのに


当事者間で解決したのなら問題なし、なら

議論もニュース番組もいらないじゃないか

僕らは一体全体何のために話をするの

それはより良い未来を作っていくためじゃないの


“わからないから教えて”は一見真摯だけれど

何をどこからどこまでどう話せばいいのか

一つ一つの単語の意味の説明を?

一体あなたはいつ“理解”する気になるの


そもそも、俺が5年10年ずっと考えて学んで

やっと到達してきたことを5分で教えろと言う

どうしても短期間でというならいくらか読書するしかない

でもあなたはそれを嫌がる

“面倒臭い”と


“わかりにくいをわかりやすく”と言うけれど

何事にも限界がある

他の事柄では冷静に論理的に会話ができるのに

こと同性愛ではうまくいかない

恋愛やセックスに関することだから自分には語る資格があると思い、

“わかりやすく”してくれればたちまち理解できるはずだと思い込む


例えば俺は、ゲイであることを隠したりせず

気軽に恋や恋人の話をすることができ

必要があれば誰の許可も得ることなく結婚して

そういう世界を生きたかったと思う


文句を言うと文句が来る

“それはやり過ぎだ”と

じゃあ俺はどうしたらいいの

このまま殴られていればいいの


“お前は生き過ぎている”

要するにそういうことだろ

“気にし過ぎ”と言わないわけにはいかない


“あなた”が差別してるんだもの

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