干潟のわたしたち 🦜

上月くるを

干潟のわたしたち 🦜





 春から秋にかけて(てっとりばやく言えば夏以外の(笑))の干潟というところは渡り鳥の集合住宅でして、そりゃあもうにぎやかなんです、たとえば、こんな感じ。



 秋:キアシシギ、トウネン、ソリハシシギ

 冬:ハマシギ、シロチドリ、メダイチドリ

 春:オオソリハシシギ、ダイゼン (*'ω'*)



 寒いアラスカやシベリアから飛来した鳥たちが潮の干満に合わせて、アナジャコ、チゴガニ、フサゴカイ、ヤドカリなどの豊富な魚介類をお腹いっぱい啄むんですね。


 なにしろあなた、たいていの渡り鳥は、ガリガリに痩せて飛んで来たときのゆうに二倍の体重になるんですから、北帰行の羽ばたきの苦労が思いやられますでしょう。

 

 でも、もしかしたらアレかもですよね、これと狙いをつけた獲物があんまり太っていれば、天敵のハヤブサも「うわ~、重そう」恐れをなすかも知れませんし。(笑)




      🦅



 

 往古からの貝殻が蓄積した白い海岸、さみどりの松林、寄せては返す波の音……。

 人間社会とかけ離れた別天地で暮らす渡り鳥ですが、もちろん、悩みもあります。


 ううん、そうですね「となりのレディスより、わたし、見目麗しくないの」とか。

「あのメンズ、マッチョでイケメンだから、モテるのもむべなるかなだよな」とか。


 なあんだ、そんならわたしら人間と一緒じゃないの、渡り鳥の世界も、ですか?

 ま、そんなもんじゃないですか、結局どこの社会も個体と個体の集合体ですから。




      🏞️




 トリあえず、干潟の現況を簡単にリポートしてみました~。

 それではこのへんでスタジオにマイクをお返ししますね~。


 視聴者のみなさん、ぜひ九州の干潟に遊びにいらしてね~。

 絶賛増量中の渡り鳥一同、そろってお待ちしていますよ~。



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