人類は滅んだ……
しょうわな人
第1話 仏様のお導き……
西暦2555年、一人の男の研究が実を結び、人々は究極の【楽】を満喫出来るようになった。
「やった! やったぞっ!! 遂に出来たぞっ!!
博士が研究していたのは、非常に優れたアンドロイドだ。その役目は【いもほと】ならば、時に母であり、妻であり、恋人であり、姉であり、妹であり、子供であり、【おとほと】ならば、時に父であり、夫であり、恋人であり、兄であり、弟であり、子供でありと、どのような役割でも、主人のその時の気持ちを読み取り、演じ、その姿を変化させ、甘やかせてくれる存在なのだった。
勿論、性欲も処理してくれるのだ。己の理想の姿となって。
この博士、子供の頃からそのような存在を創り出そうとその事ばかりを考えて、成長するにつれて、何故か要所要所で上手くいく人生をこれまで送ってきた。
人類がまだ見つけて無かった新たな要素、【変格素】も偶然に発見し、それを組み込む事により、画期的なアンドロイドを創り出す事に成功したのだ。
その出来上がったシステムは成長著しい企業、大仏産興業がスポンサーとなって大量生産が始まった。
販売価格は一体につき50万円と破格値だった事もあり、日本国内で飛ぶように売れた。
そして、海外展開が始まり、何と貧しい国には無償で提供されたのだ。
いつしか、販売元の大仏産興業の仏の文字を使用した、【
考えてみれば結婚もしなくて良いのである。性欲も吐き出させてくれる。子供が欲しいと思えば組み込まれた【変格素】によって、幼子に変わってくれる。
残された子供たちの為に、各国首脳は国で買い上げたシステムアンドロイドを子供たちの世話にあてた。
そうして、子孫を残さなくなった人類は徐々にその人口を地球上から減らしていった。
システムアンドロイドたちは赤子の世話まで完璧に出来た。そして、システムアンドロイドによって育てられた赤子は成長した後も、そのままシステムアンドロイドと暮らす事を選んだ。
中には警鐘を鳴らす人も居たのだが、その人たちもシステムアンドロイドによって
そして、今、最後の人類がその息を引き取ろうとしていた……
「ああ、こんなに年老いてしまったが、お前たちが居てくれたお陰でワシは幸せじゃった、本当に今まで有難う……」
その言葉を最後に、地球上に人類は居なくなってしまった。
そして、世界中に広まったシステムアンドロイドたちはその役目を終えて、自らの肉体を土に還していった。
『ふう〜、大日如来様、やっと終わりました』
『ご苦労様でした、
『しかし、危なかったですね…… あのまま人類が居たら、凡そ120年後に
『ですから、私は人々を救済する為に今回の手を打ったのですよ。あの妄想癖にとりつかれた少年を導くのは本当に苦労しました。何度も
『けれどもコレで人々は幸せな気持ちのまま滅びる事が出来ました。全ては大日如来様の慈悲の御心のお陰ですね』
『私たち仏は人によって産みだされたので、人を救済する必要があります。なので今回の処置を行いました。さあ、私たちもその時が来たようです。人が滅べば私たちもまた……』
『
『いいえ、
そして、地球には人が言うところの動物だけが取り残され、平和になった……
一つの変格素がある動物に付着した。その変格素によって、その動物は進化を始めた……
やがて、進化した動物の子孫は火を発見し、道具を使いだし、宗教を産みだし……
歴史は繰り返された……
人類は滅んだ…… しょうわな人 @Chou03
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