闇に叫べ! 13 ラオス殺人事件🇱🇦

鷹山トシキ

第1話


 9人死亡

 2013年9月1日 - 家庭向け電気料金値上げ。北海道電力は7.73%、東北電力は8.94%、四国電力が7.80%の値上幅。


 9月2日 - 埼玉県越谷市・千葉県野田市で竜巻発生。


 9月4日 - 最高裁判所、民法第九百条第一項第四号が定める婚外子(非嫡出子)相続格差の規定は違憲との判決を下す。


 9月7日 - 第125次IOC総会において2020年夏季オリンピック開催都市決定、東京が、1964年以来56年ぶり2回目となる開催地に選出される。


 1892年9月7日 - 現行のボクシングの基礎となるクインズベリー・ルールを適用した初のボクシング公式試合が開催。

 嵐山は政府に潜入した。

 前内閣の第1次松方内閣は、民党が多数を占める衆議院への対応がうまくゆかず、また最終的には元勲が全員閣外に出て閣僚間の統制が取れなくなり総辞職に追い込まれた。1892年(明治25年)8月2日に大命を受けた伊藤は、主だった元勲の入閣を要請、元首相の黒田清隆・山縣有朋や盟友の井上馨、陸海軍大臣を長く務めた大山巌と西郷従道もそれぞれ復帰し、前首相の松方も蔵相として再入閣した(西郷と松方は政権発足から時を置いて復帰)。このため、「元勲内閣」と称された。また、大日本帝国憲法制定に尽力した井上毅・伊東巳代治・金子堅太郎の3人も政府入りさせた(ただし、井上のみ大臣)。


 9月8日 - 茨城県知事選挙で橋本昌現知事が6選。


 残間は同僚刑事の北条織江に電話をかけ、映画『戦国探偵物語』を観に行こうと誘う。織江は榎本加奈子に似ている。『家なき子』で悪女、エリカお嬢様を演じた。


『戦国探偵物語』の舞台は、1582年5月28日、本能寺の変の直前だ。織田家に怪盗、陽炎かげろうから宝石『蘭奢待』を盗みに来ると予告状が届く。蘭奢待は、東大寺正倉院に収蔵されている香木。天下第一の名香と謳われる。

 長さ156.0㎝、最大径42.5㎝、重量11.6㎏で、不整形な木材。内部はほぼ空洞となっている。空洞になっている部分について1955年の『正倉院薬物』には「朽ちて空ろになった」と記されるが、数度の調査を行った薬史学者の米田該典は「燃焼時に予期せぬ香りを発しないように余分な部分を切除することは、現在も普通に行われていることで、香気成分が沈着しない部分を積極的に切除したため」としている。

 『天正二年截香記』によれば、天正2年(1574年)3月23日に、織田信長は塙直政と筒井順慶を使者に出し、蘭奢待拝見の希望を伝えた。東大寺は足利家以外に正倉院宝庫の開封例がないとしつつも、信長の内裏修造などに配慮して勅使によって封が解かれれば聞き入れると返答。勅許を得た信長は多聞山城に入り、勅使が到着を待つ。3月28日に正倉院中倉から黄熟香が城に運ばれ、東大寺僧3人の立会のもと、大仏師トンシキが持参した鋸で1寸角2個を切り取る。信長は「1つは正親町天皇に献上し、もう1つは我等が拝領」と述べた。


 森蘭丸がやってきたが、突拍子もない事ばかり言って頼りない。どことなく相葉雅紀に似ている。そこで信長の妹のお市は、姉のお犬の方に探偵役を依頼できないか相談する。お市は石原さとみに、お犬の方は上野樹里にそれぞれ似ている。

 於犬は初め、尾張国知多郡西部を支配する大野城主・佐治信方(為興)に嫁ぎ、一成(与九郎)と中川秀休(久右衛門)の2人を産んだ。


 天正2年(1574年)9月、信方は長島一向一揆との戦いで戦死したので、実家に戻った。兄の居城である岐阜城に戻ると、姪の茶々の後見としてその世話をして面倒をみた。再婚する直前の天正3年11月10日に兄・信長より下京地子銭124貫が支給されている。


 天正5年(1577年)、信長家臣・羽柴秀吉の仲介により、管領・細川晴元の嫡男で京兆家当主の山城槙島城主の細川昭元と再婚した。


 昭元との間には、細川元勝、長女、次女の3人をもうけた。


 天正10年(1582年)9月8日に死去。法名は霊光院殿契庵倩公大禅定尼。


 犬が死去した際に、息子の佐治一成は亡き母親の弔い料として10月3日に三貫九百八十九文を、さらに翌年に香料として十九貫六百五十五文をそれぞれ奉納しており、夫と離別後も息子と交渉を持っていたことが窺える。

 依頼を受けたお犬の方は夫の細川昭元と共に本能寺を訪れ、陽炎と対峙する。


 予告編のあらすじを話す残間だが、織江は難色を示す。織江はこの原作小説を読んでおり、つまらなかったと答える。それでも初恋の相手が蘭丸に似ているからと説得し、約束を取り付ける。だが約束の時間になっても織江は現れず、仕方なく残間はさいたま新都心にあるコクーン映画館の中で待つ事にする。


 映画は序盤のクライマックスシーンにさしかかり、蘭丸は犯人の名前を言おうとするが口籠ってしまう。本来ならその場に居るはずの陽炎が、忽然と居なくなってしまっていたのだ。部屋は厳重に警備されていて、外に逃げる事は不可能。何処へ逃げたのかと焦る登場人物達だが、突然、蘭丸は陽炎が「スクリーンの外」に逃げたと言いだす。そこで蘭丸・お犬の方・細川昭元の三人は銀幕から飛び出し、織江と共に陽炎を追いかける事に。


 丁度その頃。原作小説を読み返して遅れて来た織江は、映画館から出てきた女性とぶつかる。織江の持っていた原作小説を見て、犯人はくノ一の霧なのか聞いてくる。霧は栃木出身の女優、小田茜に似ている。織江は小説を確認して霧が犯人だと告げるが、その女性、お犬の方は「犯人は霧ではない、犯人は別に居る」と言い出す。

「誰なの?」と、織江。

 残間はお犬の方をマジマジと見た。やっぱり上野樹里に似ている。『のだめカンタービレ』の頃からファンだった。

「犯人はアンタだよ、蘭丸」と、お犬の方は森蘭丸を人差し指で突き刺した。

 森蘭丸の本名は森成利。永禄8年(1565年)、織田信長の家臣・森可成の三男として尾張葉栗郡蓮台に生まれる。


 天正5年(1577年)5月、織田信長に小姓として弟らと共に召し抱えられる(『兼山記』)。以後、信長の側近として活動する。天正9年(1581年)4月20日には近江国に500石の知行を与えられた。


 特に『信長公記』によれば、使者としての活躍も見られ、天正7年(1579年)「四月十八日 塩河伯耆守へ銀子百枚遣はされ候、御使森乱(蘭丸)、中西権兵衛相副へ下され、過分忝きの由候なり」、天正8年(1580年)「正月廿六日、森乱御使にて、濃州岐阜御土蔵に、先年、鳥目一万六干貫入れおかれ侯」などの例がある。また、母の妙向尼は織田信長と石山本願寺との争い(石山合戦)の和睦成立に奔走した際に、成利を通じて情報を得て信長と直談判をしたとされる。なお信長は当時、本願寺との和睦に際して「金山城下に浄土真宗の寺院を建立、息子(妙向尼の子)の一人を出家」させることを条件に和睦を提示した。


 天正10年(1582年)、甲斐武田氏滅亡後は甲州征伐に貢献したとして信濃川中島に領地替えとなった兄の長可に替わって美濃兼山及び米田島を与えられた(『信長公記』)。また美濃岩村城主にもなった。『寛永伝』には5万石とある。ただし成利は岩村城には在城せず、長可の家老の各務元正が成利に付けられ、城代を務めた。


 同年、本能寺の変において本能寺で明智光秀の軍1万に囲まれて健闘するも、信長に槍で傷を負わせた明智配下の安田国継(天野源右衛門)によって討ち取られた。享年18。討たれる際、成利は白小袖を着て修善寺の平元結びで髪を茶筅髷に結っていたといわれる。ただし、これは源右衛門本人の証言によるものであり、信長に槍で傷を負わせたという証言にも疑問が残っており(『天野源右衛門覚書』)確証はない(『名将言行録』)。『本城惣右衛門覚書』ではまた異なる記述がなされている。さらにルイス・フロイスの『日本史』では信長はしばらく戦ったが、腕に銃弾を受けると、自ら部屋に入り、襖を閉じてそこで自害したとされている。このように信長や成利の最期も諸説が入り乱れており、確たる事実は明らかになっていない。


 残間は歴史好きの元刑事、菜奈が言っていたことを思い出していた。

 ある時、信長は爪を切り終えると扇子の上に爪を載せ、成利に捨ててくるように命じた。成利は命令に従って次の間に移ると、爪が9つしかなかった。このため成利は信長の部屋に戻って残りの爪を捜したという。

 蘭丸=陽炎だったのである。

「信長にバレたら命はないよ?」と、お犬の方。

「美しいものには昔から目がなくってね?」

 蘭丸は何やら呪文を唱えると蝙蝠に化けてどこかに逃げた。🦇


 9月15日

 連続テレビ小説『あまちゃん』がいよいよ佳境だ。呂宋は天野春子の親友役を演じてる橋本愛を好きになってしまった。ついつい、『聞いてよその火を飛び越えて〜♪』と、キョンキョンの『潮騒のメモリー』を口ずさんでしまう。

 さいたま新都心は、埼玉県さいたま市にて東京都心機能の「新都心」となるべく企図された業務地区の名称。もともとは国鉄大宮操車場や片倉工業の工場であった。1990年代後半から大規模な再開発が行われ、官公庁の関東地方出先機関などが進出している。

 朝焼けの街をカラスがけたたましく鳴いている。🏢

 西側地区には「さいたまスーパーアリーナ」・「けやきひろば」や、官民の高層ビルが立地する。「さいたま新都心合同庁舎」には、政府機関(中央官庁)の関東地方を管轄とするほとんどの出先機関(各省庁の地方支分部局)、ならびに甲信越地方を管轄とする一部の出先機関が設置されている。東側地区には大型ショッピングモール「コクーンシティ」が所在する。ゾンビでも出てくるかも知れない。あっ、そりゃラクーンシティか。


 銀星仁太がさいたま新都心駅付近で目撃された。情報をくれたのはキヨスクのおばさんだ。仁太は石井正則に似ている。『古畑任三郎』で西園寺っていうエリート刑事を演じた俳優だ。仁太は艶子っていうモーテルの女を殺した。

 呂宋は6街区にやって来た。5街区と新都市南通線を挟んで西隣、新幹線と通りに挟まれた三角形の地区。6-1街区以外は駐車場となっている。西口駅前通に面した地区で、W-13:小池ビルPorteが所在。けやきひろば、JR北与野駅とそれぞれ北与野デッキで結ばれている。

 スマホが鳴った。呂宋が所属している『マルス』のボス、竜崎からだった。竜崎は世良公則に似ている。『銃爪』や『燃えろいい女』などを熱唱する歌手であり、『太陽にほえろ!』でボギー刑事を演じた俳優だ。

《銀星の遺体がラオスで見つかった》

 

 ラオスは、1353年にラオ人最初の統一国家であるランサン王国が成立。18世紀初めに3王国に分裂。1770年代末に3王国はタイに支配されたが、1893年にフランスがタイにラオスへの宗主権を放棄させて植民地化し、1899年にフランス領インドシナ(仏印)に編入された。この時に現在の領域がほぼ定まった。第二次世界大戦中の日本軍による仏印進駐や第一次インドシナ戦争などを経てインドシナ半島におけるフランス植民地体制が崩壊過程に入る中で1949年にフランス連合内でラオス王国として独立、ついで1953年に完全独立した。その後パテト・ラオなどの左派と王政を支持する右派、中立派に分かれてラオス内戦が発生したが、ベトナム戦争後に右派が没落し、1975年に王政は廃され、社会主義体制のラオス人民民主共和国が成立した。


 その政治体制はラオス人民革命党(パテト・ラオの政党)による一党独裁体制である。『エコノミスト』誌傘下の研究所エコノミスト・インテリジェンス・ユニットによる民主主義指数は世界155位と後順位で、「独裁政治体制」に分類されている。また国境なき記者団による世界報道自由度ランキングも172位と後順位であり、最も深刻な国の一つに分類されている。


 人権状況についてヒューマン・ライツ・ウォッチは、人民の基本的自由が著しく制約されていること、労働権が不在であること、薬物使用の疑いがある個人を起訴しないまま人権侵害が横行する薬物常用者拘留センターに拘禁していること、活動家を強制失踪させていることなどを問題視している。


 経済面では1975年以降、社会主義計画経済のもとにあったが、ソビエト連邦のペレストロイカやベトナムのドイモイの影響を受けて1986年から「新思考」(チンタナカーン・マイ)政策と呼ぶ国営企業の独立採算制、民営企業の復活など市場経済化への経済改革を行っている。しかし経済状態は厳しく、国連が定める世界最貧国の一つである。また、中華人民共和国が主導する経済圏「一帯一路」に参加しており、中国ラオス鉄道に代表されるインフラ建設などが進んでいるが、債務を返済できなくなる「債務のワナ」に陥ることも懸念されている。


 外交面では王政時代の1955年に国連に加盟し、1997年に東南アジア諸国連合(ASEAN)に加盟。1975年に社会主義体制になって以降ベトナムとの外交を軸にしてきたが、近年は中華人民共和国との外交を軸としている。


 地理としてはASEAN加盟10か国中唯一の内陸国で、面積は日本の約63%に相当し、国土の約70%は高原や山岳地帯である。その間をメコン川とその支流が流れている。国土は南北に細長く、北は中国、東はベトナム、南はカンボジア、南西はタイ、北西はミャンマーと国境を接する。


 

 

 

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