ほぼほぼ満月(笑)と寒桜 🌖🌸
上月くるを
ほぼほぼ満月(笑)と寒桜 🌖🌸
凍りついた夜空の東側四十五度に、煌々と眩く冴え渡る寒の月がかかっています。
その明るさと来たら、北国の老婦人がそっとカーテンを開けてみたくらいで……。
――わたしが照らす地球には、なにひとつ、けがれたものなんかないはずよ。
いいえ、あってたまるものですか、せっかくの生命を無為にするなんて。
そう呟きながら、月はこれ以上はないほど明るく、清廉に地球を照らしています。
その澄んだ光の粒をまぶされたら、どんなものだって浄化されずにいられません。
🏞️
冷えた身体をふたたびベッドに入れた老婦人宅から何百キロも離れた南国の海辺。
穏やかな波の音が単調な調べを繰り返しているばかり、家々は寝静まっています。
太平洋の海岸に、天女の羽衣がふうわり掛かっていそうな松林がつづいています。
よく見ますと、そのなかに、ぼうっと薄紅色に霞んだ場所が何か所かあって……。
――
ひと足早く咲いて春の間近を知らせる、春告鳥(鶯)の花バージョンなの。(笑)
「月の出に風をさまりぬ冬桜 茂惠一郎」「寒桜交り淡くして長し 古賀まり子」
だれひとり見る人とていない夜の海岸で、一重の桜は楚々と健気に咲いています。
いろんな出来事にときには挫けそうな人間や動植物たちを、一所懸命に励まして。
――今年も律義に咲いてくれましたね。(´ω`*)
とても美しいですよ、寒桜さん。( ^^) _U~~
斜め四十五度の位置からいつの間にか真上に昇っている、ほぼほぼ(笑)の満月がやさしい声をかけながら、微風にふるふるしている花びらに光の粒をふりかけます。
ほぼほぼ満月(笑)と寒桜 🌖🌸 上月くるを @kurutan
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます