第12話 卒業
3月。
この時を待ち侘びたような、
そうでもないような。
1日1日が、やることが多過ぎて諦めてもそこにまだ仕事が山積みで、毎日毎日学校と家の往復は、正直のところきつかった。
今日は、卒業式。
スーツを着て、学校に向かう。
入学式を思い出す。
あの時も不安でドキドキだった。
でも、またピカピカの心だったなぁ、今は古ぼけた雑巾のようにしわっしわになった心である。
疲れ過ぎて、涙も出ない。
6年生の卒業式練習には何度も参加した。
ピシッとした姿になっていく6年生をみて、自分もこうだったかなぁと思い出す。
申し訳ない。
本当に疲れ果てて、涙も出なかった。
それはそれで、心残りだが、正直な気持ちである。
そうして花びらが散って行く。
今年大変だった問題児ばかりが脳裏に浮かぶ。
小4のあいつは「俺、しっかりした5年生になるよ。」と。
小1のあの子は「さようなら」とあいさつが言えるようになっていた。
小5のあの子は「先生といつかデートしたいです」と告白してくれた。
みんないい子だったけど、翌月私はここにいない。
いずれ、私のことなどすぐに忘れるだろう。
私は、、、
、、、。
この1年のことを不思議な世界に迷い込んだんだ、
そんなふうに
特別な体験として、
記憶に残って行くんだと思う。
fin
とある教員のつぶやき ヨユウ @YOyuu
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